今日は年始回りの日。
「年始回り」。当然、新年の季語。家族でのんびり過ごす元旦を避けて、二日以降、七日までの松の内と呼ばれる時期にうかがうのが慣わし。
もちろん長居はしない。玄関口でお祝いの口上を述べるだけが基本。
これを「門礼者(かどれいじゃ、または、かどれいしゃ)」という。その際はかならず正装していくのがルール。普段は仕事着作業着の職人さんも紋付袴で決める。
でも所詮は「馬子にも衣装」の域は出ない。言い慣れない上にお屠蘇気分だったりして、口上もしどろもどろ、なんてことも多かったろう。
古川柳にいいのがある。
門礼者 正装に舌 もつれけり
あ、古川柳じゃないや、俺の句だ。
それはともかく「平成の門礼者」たる僕も午後、徒歩で東に向かい市内プレスタウンの嵐山光三郎先生宅へ向かった。たぶんもう四半世紀くらい毎年うかがっている。
角を曲がったところで声を掛けられた。嵐山夫人。
「今、ちょうど正介さんが来られてるのよ」。
招じられてリビングへ。作家・映画評論家の山口正介さんが来られていた。故・山口瞳先生のご子息。
「そろそろ君が来るんじゃないかって話してたんだよ」
嵐山夫人にたてていただいたお抹茶をいただきながら四方山話。
話題はチェット・ベイカー、草野心平から鳩の湯まで。古い話、新しい話入り乱れての情報交換。
お話は尽きず、門礼者どころかすっかり長居してしまい、夕方になってしまいあわてて辞去。
話題豊富なお二人を前に、実は毎年事前にネタを仕込んでいくんだがほとんど披露することなく時間切れとなる。今年もそう。
某最大手ネットオークションで見つけたこの商品についてのご注進も3年越しで果たせずにいる(ずっと落札されずにまわりつづけている)
うん。全然、別の人だな。
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