神楽坂・編集者の学校

今日は日中、キャットフィッシュ(エソラ)のオーナー・マスオさんのお尻にくっついて進めている「プロジェクトHG」と、「神楽坂 まちの手帖」の平松南さんのお手を煩わせて進行中の「プロジェクトKK」が大きく進行したので気分がいい。ああ、早く皆さんにお知らせしたい。多分、来週には発表できると思う。

 そんな上機嫌のままスキップで神楽坂を下った。

 今宵は「神楽坂・編集者の学校」。これは元・「週刊現代」編集長の元木昌彦さんが「校長」を務める、若手編集者や編集志望者の育成を目指しているセミナーだ。

 共同主宰者は元・講談社の編集者で神楽坂で5軒の飲食店を経営する実業家・平松南さん。平松さんは神楽坂のタウン誌「神楽坂 まちの手帖」の編集発行人でもある。

 会場は飯田橋駅前のドトールコーヒーの3階。この店も平松さんの店だ(FCオーナー)。

  本日の講師は元・文藝春秋週刊文春、諸君、の編集長で元・常務の堤堯氏。超ベテラン編集者・ジャーナリストのその40年に及ぶキャリアで得た仕事の秘訣を覗かせてもらうのが企画趣旨だ。
 
 もとより僕は門外漢で生徒ではないのだけど、堤さんにはずっと以前にお世話になっておりお会いしたかったので、参加させていただいた。久々の再会を楽しみに早く会場のドトールに入って本を読んでいたら、ちょうど店に入ってこられた。ダブルのスーツにノーネクタイが決まっている。

 この辺に書店はないかとのお尋ねに駅ビルの芳進堂にご案内した。

 しばらくして戻ってこられた堤さんは「お金払ったのに商品もらうの忘れちゃって、店員さんが追いかけて来て渡してくれたよ。俺もボケたよなぁ」と呵呵大笑。相変わらず豪放磊落な方だ。

 講演の内容はとても書ききれないほど濃縮されたものだった。

 僕にとって、もっとも印象的だったのは「俗論に流されることの危険性」。耳に気持ちいい俗論に人間は弱い。ついそれに擦り寄ってしまう。すると、やがて世の中全体が思考停止に陥り、変な方向に転げ始めてしまう・・・。編集者、ジャーナリストたるもの、「本当にそうなのか、それでいいのか」をもう一度、冷静に検証しなければならないと堤さんは言う。それはつらく険しい路ではあるけども・・・。

 それと面白かったのが、突然最前列の青年を指して、
 「あなた、野球選手は誰のファン?」
  イチローです。
 「じゃ、イチローの批判を3分間しゃべってみて」
  ・・・・・・・・。
 つまり、ものを両側から見る習慣をつけろと言うこと。表と裏、陽と陰、正と負・・・。
 陰影をつけてこそ記事に立体感が出るのだと言う。

 また、その他に故・司馬遼太郎氏の「この国のかたち」誕生秘話、「ロッキード田中裁判秘話」など、マスコミの第一線で長年活躍してこられた堤さんならでは貴重な話も満載だった。

 ぜひ、元木さんか平松さんに本にまとめていただき、もう一回読みたい(聞きたい)と思った。