おそらく、現在わが国最高のインタビュアーによるインタビュー集である。
インタビュイー(インタビュー対象)は「おたく世代以降の表現者」たち。
彼らは共通して「フラット」であるという。
ホンマタカシ、アトリエ・ワン、堀込高樹、会田誠、佐倉統、柏木博、角田光代、古屋兎丸、中野浩之、YAB-YUM
以上である。10人。美術家だったり、音楽家だったり、写真家だったり、建築家だったり・・・・・。
全員知ってた?
知ってたら凄い(多分)。僕は、
名前だけきいたことある人 2
名前は知らないけどやった仕事は知ってた人 1
名前も仕事も知ってた人 4
つまり半分はどういう人か知らない人だったわけだ。それなのに・・・・・。
それなのに、知らない人のインタビュー集がこんなに面白いなんて!!!
約400ページ(厚さ3.5センチ)という大部の本なのだが、すいすいと抵抗なく読めてしまった。前書きがちょっと難解だったので危うく挫折しそうにはなったけど、本文に入ったら目的の駅について本を閉じるのが惜しいくらい面白い(400ページの本を通勤で読んじゃいかんね)。
読み終わる頃には、建築について、美術について誰かに語りたくなるくらい興味がわいてきた。インタビュイーの本を読んでみたくなった。
本のつくりもいいのだろうな。欄外の脚注がかなり親切で気が利いている。そのインタビューを読むのに十二分な知識を適切に教えてくれている。優秀な編集者がついているようだ。
ただ、タイトルの「平らな時代」。これは最後までよくわからなかった。そのタイトルの元になった美術家の村上隆氏が提唱した「スーパーフラット」という概念を僕が全く理解していないというのも大きいのかもしれない。哲学、苦手なものですみません。
だから、僕はもしかしたらこの本の本質というか本来のテーマに触れられてないのかもしれないが、同じ著者による講談社現代新書「インタビュー術」の実践編として楽しんでいるのかもしれない。
でもそんなB級の読者をここまで楽しませてくれるとは・・・・。
やっぱり永江さんは凄いわ。
永江 朗著『平らな時代』(原書房・1900円)