割り箸の行方

今日は北関東・某市にある叔父の家に遊びに行った。

 一家5人で押しかけて食事の心配までさせては申し訳ない、叔父の家に着く前にすませることにした。

 入ったのはチェーンのうどんやさんである。特に名を秘す。スケアクロウの商標でお馴染みである。


 僕がカツどんセットを食べていたら背後で「カシャーン」という音がした。

 ウタダヒカルの夫ではない。後ろにいた家族連れが箸立てに立てられた数十本の割り箸を床にぶちまけたのだ。家族連れといっても子どもがいるわけじゃない。老夫婦と中年男二人である。様子から家族と知れた。

 店員さんは気づいていない。彼らは、慌てて床に散らばった割り箸をかき集め始めた。

「まさかこいつら床に落ちた割り箸を拾って箸立てに入れたりしないよなぁ」

 とは思ったもののやりかねない人相をしていたので(すげぇ偏見)、店員さんに、

「あちらのお客さんお箸落としちゃったみたいですよ」

と耳打ちした。でもこの店員さんさんは件のテーブルを見やって、

「はい」

とニコニコしている。どうやら店員さんは、「割り箸一膳を落としたお客が新たな箸を自分で箸立てから出して使った。それをわざわざおせっかいに知らせてきた親父(蕃茄のこと)がいる」と思ったらしい。

そんな、おフランス料理じゃないんだから、そんなこと知らせるわけないじゃん。

僕もさりげなく振り返って見た。すると割り箸はキレイに箸立てにおさまっていた。家族連れは涼しい顔でうどんを食べている。

ああ、やっぱりやりやがった。土足の床に落ちた割り箸を拾ってそのまま箸立てにいれたようだ。

北関東某市の「太郎うどん(仮名)」の国道側の座席のお客さんは、今日明日、割り箸をよく点検してから食したほうが良かろうと愚考する。


↓↓ 国道から叔父の家へのアプローチ。屋敷森の中に長屋門が見える。  ↓↓