手塚治虫の伝言(メッセージ)

、と大仰なタイトルで恐縮である。自他ともに認める「つげ者」で「水木主義者」の僕ではあるが、手塚治虫のことももちろん好きなのである。一番好きなのはロック。

  そういうわけで、塾がある長男・虎太郎(仮名)以外の4人で、「手塚治虫の伝言(メッセージ)--親から子、そして次の世代へ--」に行って来た。会場は武蔵野市立吉祥寺美術館。

  まだ出来て2、3年の新しい美術館で、ロゴが洒落ている。なんとなくそんな気がして係の人に聞いてみたらこのロゴ、敬愛する画家・永沢まことさんによるものだった。

  展示品は、「鉄腕アトム」「火の鳥」を中心に、カラー原画、直筆原稿、手塚治虫の愛用品(ペン・ジャケット・ベレー帽など)、ミュージカル用シナリオ原案や「火の鳥オブジェ」など。

  中でも圧巻は壁面のほとんどを埋める、「鉄腕アトム」と「火の鳥」の直筆原稿だ。その世界観の広がりにも圧倒されるが、それよりも改めてビックリしたのが、その絵の巧さ。

  いや、もちろん当たり前といえば当たり前なんだけど、実に美しいモノクロ原稿だった。本当に絵が巧い人だったんだなというのを再認識した。
 
  その生原稿、下世話なことを言うようだが、とても値段がつけられないような世界だろう。そんな素晴らしいものを100円の入場料で見せていただいて申し訳ない。しかも小学生以下は無料だ。開催は9月12日(日)まで。


  その後は、某デパートの某・催し物に行った(特に名を伏せる)。

  いやいや面白かったなぁ、店員さんが。

  店員さんといってもデパートの人じゃなくて、その催し物に店を出してる業者の店員さん。

  5〜10万という世界の、ちょっと高額な商品の担当のおばさんなのだけど、素見(ひやかし)の客に時間をとられてしまったのにご立腹のようで、一人ごちているのだ。

 「まったく冗談じゃないよ。これは貧乏人に買えるもんじゃないんだ。なんだ、無職ってのは? カードも作れないってのは一体なんだい?」

  素見とは言っても、その無職の青年は本当にその商品に興味があったみたいなんでその言い様はどうかと思うんだけど(もちろん面と向って言った訳ではないが)、まあ、おばさんの気持ちもわからないではない。きっと家賃というかエントリー料も莫大なんだろう。

  そうかと思うと、きれいなコスチュームに身を包んだ若いキャンペーン・ガール二人。顔は二人並んで正面を向いてニコニコしながら内輪話をしていた。

  「ねぇ、あたし○○(関東の某都市名)のギャラまだもらってないのよねぇ。大丈夫かなぁ」


  おばさんにはおばさんの、ガールにはガールの事情がありそうな日曜日の午後だった。