「楽なほうへ 楽な愛へと全力で 鼻血まみれで 走っていった」
とモノクロ写真の上に映画字幕の白い字で書かれた不思議なハガキが届いたのは今日の午前だった。
展覧会のお知らせだ。歌人の枡野浩一さんと写真家の八二一(はに・はじめ)さんのコラボ展『結婚するっていいですか?展(HANI Hajime × MASUNO Koichi)』。
そのハガキ、短歌は枡野浩一さん(文字は渋谷展子さん)、写真は八二一さんによるものだ。
僕は枡野さんのエッセイ、短歌のファンなので行くことに迷いはない。会期はいつからだろう。えーと、「2004年9月6日(月)〜9月20日(月)」。今日からじゃん。
会場は表参道のギャラリー・ロード。・・・・どこかで聞いたことがあるなぁ。トレードマークは天秤・・・。あっ! この前まで国立の大学どおりにあったお店ぢゃあないか? ここのマダムのぐれいすさんとはネット上では何度もやりとりがあったネット友達だ。この蕃茄庵に遊びに来てくださったこともある。これはぜひ初日に行こう、と今日の帰りに寄ってみた。
場所は表参道・同潤会の裏手あたり。サンルーム風の外観がよく目立つ。コンサバトリーというらしい。
サンルームだから外からよく見える。外からよく見える位置に枡野さんがおられるのが見える。ただでさえ目立つ方が、暗い中ひときわ明るく輝くサンルームのガラス際に座っておられるから、それはもうよく目立つ。
中に入って枡野さんに挨拶をしたあと展示を見せていただいた。
今回の展覧会は枡野さんの2冊の新著『結婚するって本当ですか?』枡野浩一・むらやまじゅん・八二一(朝日新聞社)、 『もう頬づえをついてもいいですか?』枡野浩一・渋谷展子・八二一(実業之日本社)をモチーフにしたものだ。
『結婚するって本当ですか?』は八二一さんが撮った負け犬(っぽい顔した犬)写真と枡野さんとむらやまじゅんの結婚格言を組み合わせた絵本。脱力するバカバカしさ。でもページを開いたら最後まで止められない。
一方の『もう頬づえをついてもいいですか?』風景写真にシネマ文字で短歌をあしらった映画コラム短歌集だ。冒頭に挙げた短歌もこの本に収載されている。
これらがパネルになっているのである。じっくりと鑑賞させていただいた。
レジカウンターにおられたぐれいすさんに挨拶。実はこれが初対面。いや、国立にあったロードではお会いしていると思うのだけど、名乗りを上げて会うのは初めて。
枡野さんがむらやまさんと八二一さんを紹介してくださる。ただし八二一さんは半分。ご夫婦でのユニット名で、今日来られていたの旦那様のほう。
それにしても枡野さんとむらやまさんと八二一さんのカッコイイこと。僕も決して背が小さいほうじゃないが、三人とも僕よりずっと背が高い。むらやまさんにいたっては183センチの枡野さんよりさらに大きい。
むらやまさんとは名刺交換をさせていただいた。
それも只の名刺ではない。使い込んだようなトランプを取り出して、大きく表を広げて絵柄を僕に見せて「種も仕掛けもない」ことを示す。そしてシャッフルして僕にストップをかけさせてとまったところで僕が一枚カードを指定する。それを表がえすとそれが名刺になっているというカード・マジックだ。
マジックでだまされるというのは実に面白い。つい小学生に戻ってしまう。そしてマジックをやる人というのは何故かお兄さんっぽい。マジックに感心した僕は多分10歳ぐらいは年下のむらやまさんに、背の高いお兄さんと向き合う小学生の弟のような心持ちで接してしまった。
むらやまさんにカードとサインペンを渡された。「?」って思っていたら、「結婚に関する自作の格言を書いてください」とのこと。来場者がそれを書いて壁面に掲示するという趣向らしい。面白い。僕は座右の銘、
「結婚は“縁”より“エイッ!”」を書いた。そして帰ってきてから誤字があったのに気づいて赤面している。
面白い展覧会です。会期も長いので、ぜひ行って見てはいかがでしょうか。
『結婚するっていいですか?展(HANI Hajime × MASUNO Koichi)』
表参道・ロードにて 2004年9月6日(月)〜9月20日(月)