あらしやま亭「志らく花緑二人会」

今日は18時から新宿の安田ホールで?あらしやま亭「志らく花緑二人会」?。

 嵐山光三郎氏プロデュースによる落語会だ。祝日なので長男・虎太郎(仮名・中2)といってきた。

 
  作家で、元・教育課程審議会会長の三浦朱門氏は、かつて次のように語った。
「できない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえればいいんです」(斎藤貴男著『機会不平等』文藝春秋より)
 三浦氏が言いたいことはつまり「ボンクラは余計なことを考えずに汗を流して勤勉に働け」ということなのだろう。言わんとすることはわからんでもないけどなんだかなぁ・・・。

 元・文化庁長官に刀を返すようだが、僕は別なことを考える。
「できない非才、無才には、せめて洒脱な精神だけを養っておいてもらえればいいんです」
 つまり、「人生はつらい。だからせめて洒落のわかる人になろうよ」ってこと。洒落さえわかれば (それと、できればほんの少しの発想の転換があれば)、大抵のことは乗り切れる。

 そういうわけで子どもたちにはできるだけ落語に触れる機会を増やしたいと思っているのだ。

 
  虎太郎の塾が長引いて、開演ギリギリで飛び込む。腹ペコ。場内には、花田紀凱坂崎重盛大林宣彦石田千、各氏の姿。席に着くと隣は嵐山夫人。まい泉カツサンドをいただく。深謝。後ろはキャットフィッシュのマスオさん。

  開口一番は立川らく朝さん。二つ目に成りたての50歳。入門は46歳。昼間は内科医で夜は噺家修行中という変り種。得意の健康増進落語で場内を沸かす。

  続いて嵐山氏のトーク。テーマは「人生、下り坂が楽しい」。健康食品会社のスポンサーがついてのイベントなのでお客は中高年が多い。皆、一様に深く頷いて聞いていた。
  
  途中から志らくさん花緑さんを呼んでの3人トーク。お二人はスーツ姿。花緑さんの細身のスーツのカッコイイこと。現代青年そのものだ。

  続いてその現代青年が着物に着替えての高座は「明烏」。ご存知、廓噺だ。歯切れがよくって気持ちがいい。教養のない虎太郎には理解不能な部分も合ったようだがなんとなく雰囲気はわかったようで、十分楽しめたようだ。若旦那は地で演ってる感じで色っぽく可愛い。

  トリの志らくさんは「子別れ」。こういう泣ける噺は困る。わが子の前で「子別れ」で泣くわけにもいかないのである。何度も聞いた話であるが、志らくさんの「子別れ」は初めて。こんな笑いの多い「子別れ」は珍しい。新しいクスグリも満載で現代的に仕上がっていて面白かった。

  特に物見高い八百屋が最高に面白かった。サゲにまで絡んでくるんだけど、こういう演出ってこれまでもあったのかなぁ。「もしかしてアドリブ?」っていう可能性も浮上するほどだ(以前、シネマ落語「居残り左平次」で「赤ちゃ〜ん」ってギャグで場内を沸かせて引っ張ったんだけど、その打ち上げでそれがアドリブと聞いて驚いたことがある。長いネ、括弧が)。

  ロビーで女優の酒井莉加さんに会う。若いうちに美人のプロ(?)に会っておくのも将来のために勉強になると思ったので虎太郎を紹介。でもふたりともちょっと困ってしまったかな。

  終演後は虎太郎と二人で「ねぎし」のグリル焼肉定食。見事な食べっぷりに惚れ惚れする。