箱根の、まるで病院か老人施設のような名前の温泉ホテル「天成園」で朝食を食べた後、慌てて帰国(クニタチにかえるということ)。
今日は、朗読劇「この子たちの夏」があるのだ。くにたち市民芸術小ホールにて。
「この子たちの夏」は演劇演出の地人会代表である木村光一さんの台本だ。広島・長崎の被爆者の人たちの手記や詩歌を台本にまとめたもので、1985年の初演以来、全国各地で上演されている。
今日のこの公演は国立で平和と戦争を考える活動をしている「ピースくにたち」の主催によるもので、キャスト、スタッフともに国立市民という手づくりのものだ。
キャストの1人としてツレが参加している。そんな理由もあっていってみたのだけど、予想以上の出来栄えにビックリしてしまった。
広島編と長崎編の2部構成で、原爆が投下された瞬間をつづった手記から始まり、原爆症による白血病で昭和37年に亡くなった娘さんの手記までが1時間15分にまとめられている。
中でも子どもを原爆で奪われた親の手記が痛切だ。何の罪もないのに目の前で苦しみながら死んでいくわが子に何もしてやれないもどかしさと心の痛み・・・・。子どもの話になるとどうしても弱い。何度も泣きたくなってしまったのだけど、泣いちゃいけない逃げずにちゃんと聞かなくっちゃ、と踏みとどまった。
さすが木村光一さんで、凄い台本だ。そのリアリティ!! でも当たり前だ、これは「リアル」なのだ。現実に地獄のような劫火を見てこられた被爆者の人たちの言葉の力に圧倒されてしまった。
また、それが朗読されることで、より立体感を持って像を結んでいたと思う。