・・・・・5月3日(2日目)の旅日記<15>・・・・・・
そういうわけで、老辺餃子館を堪能して中街に出た。そぞろ歩きするうちに小腹がすいてきた。
うそ。
小腹などすいていない。小腹じゃなくて「別腹」の方だ。
こってりした食事の後、ちょっと甘いものを食べたくなる人、ないですかー?
僕はなるのである。三吉もなるのである。
歩行者天国に、小屋掛けのアイス屋さんが数軒出ているのは、来るときから気がついていた。昼間食べたトルコアイスとは対照的。あちらはこってりもっちりで値段も10元(160円)と相当高かった。
こちらは2元(32円)。安い。
中国の安いアイスがとても薄情な味で、乳脂肪分ゼロであることは経験的に知っている。淡雪のようにほろほろと溶けやすいことも。
これが今の気分に最適だ。
美味しかったなぁ。トルコアイスとはまったく別次元の食べ物だ。
ああ、これで本当の満腹。もう歩きたくない。タクシーで帰ろう。
話の種にと、まずは客町をしている瀋陽名物の三輪タクシーに「洲際飯店(インターコンチネンタルホテル)」と告げる。
拒否られる。
なぜ? ああ、そういえば、ホテルの近辺では3輪タクシー見なかったなぁ。そうか、通行規制で3輪が乗り入れちゃいけないエリアなんだな。
それではと、普通のタクシー、瀋陽のタクシーの9割以上を占めるフォルクスワーゲン・パサートのタクシーを止めて、「洲際飯店(インターコンチネンタルホテル)」と告げる。
拒否られる。
なぜ? 立て続けに4台に拒否られる。
小腹、別腹に続いて今度はムカッ腹だ。ええいっ!! 腹が立つ!!
「オレならいいよ、大丈夫だから歩いて帰ろう」
と調整に入る三吉。
そうだな、歩いて帰ろう。気を遣わせてすまんね。と決心し、歩き出した。
「T橋さんたちも苦労しているかなぁ」
と三吉。昨日、空港からホテルまで一緒だった静岡のご夫婦のことだ。そういえば、昼間、撫順の戦犯管理所を探しているときもそんなこと言ってたなぁ。
残念ながら、人様の心配するゆとりは無い。
しばらく歩いて、「最後のトライ」とタクシーを止めた(僕は思い切りが悪い)。そして「洲際飯店(インターコンチネンタルホテル)」と告げたら、「乗れ」のサイン。 えっ乗せてくれるの? 乗せてくれるのは嬉しいけど、なぜ? システムがわからないぞ。
タクシーに乗り込むと、僕は旅行中の癖で地図と経路を照らしあわした。すると三吉が小さい声で聞いてきた。
「道あってる?」
昼間の撫順での僕と運転手の「確執」が彼の心に影を落としているようだった。
ホテルには無事に着いた。料金は11元(180円)だった。
ああ、今日は疲れた。でも、疲れたわりには、案外、活動はしていない。歩数計だけは、32,018歩と、そこそこの数字を刻んでいたが。
( 続 く )