「しんぶんじじい」になりたい 〜続・三波春夫さんのこと〜

さっき調べたら、歌舞伎座連続公演は20年だそうな。グレイト!!


で、僕はその三波春夫歌舞伎座特別公演に行っているのである。小学生のときに2回くらい。祖母のお供である。


いわゆる「歌手芝居」の王道の進行で、第一部がお芝居で、第二部が歌謡ショー。


普通の歌手ならたいてい人情芝居なんだけど、三波さんは違う。歴史通らしい大・歴史大河ドラマだった。僕が見に行ったときは「高田屋嘉兵衛」だったかなぁ。

美人女優が年替わりのヒロインで、当代一流のお笑い芸人がコメディ・リリーフとして登場する。


歌謡ショーの(というか、全体の)フィナーレでは、お楽しみの「手ぬぐい投げ」がある。舞台上に勢揃いした三波さんを中心とした出演者が客席に向かって、丸く畳んだ手ぬぐい(三波さんの紋とサインを染め抜いた)を投げる。ファン垂涎の品である。

出番である。

祖母の指令を受けた小学生の僕は一気に通路を走って最前列のかぶりつきに行き、「ちょうだいちょうだい」と手を振るのだ。三波さんの前はファンが殺到しているので、端っこのほうの法被を着た「社中」(ダンサーズ)の地味目なあたりを狙う。中高年ばかりの中で小学生は目立つのでまず、もらえるのだ。

もらってきた手ぬぐいは、もちろん祖母に徴発されるのだが。



ところで、僕がよく寄席に通っていたころに鬱陶しかったのが「しんぶんじじい」である。

僕自身は辛うじて三遊亭円生のリアルに間に合った世代だが、志ん生文楽には間に合わなかった。だから「志ん生はよかった」「文楽は凄かった」と僕たち「若者」に差をつける「しんぶんじじい(志ん文じじい)」が恨めしかった。



三波春夫歌舞伎座特別公演は1980年まで行われていたという。終わりを告げてから早30年か・・・。今は若者も聴くが、当時は三波春夫は中高年、というか老人のアイドルだった、乱暴に言えば。体験者は年々減っていることは当たり前のことだ。

そんな中で僕の「三波体験」は貴重なものとなりつつある。


「しんぶんじじい」に倣って「みなみじじい」になって、

「君らは知らないだろうが、三波春夫歌舞伎座特別公演ってのがあってな。そりゃあ凄かったよ。手ぬぐいをナ、こうやって丸めて・・・」

と、繰言に興じることが出来る日も、そう遠くない。



しっかり長生きして、しぶとい「しんぶんじじい」になろう。





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