夏の浪速の芸尽くし(4) 三代目大川竜之介率いる「劇団竜之介」

〔8月6日の日記 その4〕

新世界「浪速クラブ」、今月の出演は三代目大川竜之介率いる「竜之介劇団」。


公式サイトはこちら大衆演劇の聖地・九州を本拠とする一座だ。


まずはプロローグの舞踊ショーから始まる。一座の役者たちが歌謡曲にあわせて踊るのだ。若い役者さんばかりなので動きがシャープで気持ちがいい。


続いてはお芝居。当然、チャンバラ時代劇かと思いきや、ザンギリ鬘の近代劇。寒村を舞台にした悲恋と兄妹愛を描いた人情芝居だ。笑いのスパイスも効いている。

タイトルは「妹よ」。


いやぁ、面白いねえ。おばさんの追っかけファンもいるようだが、当然と言えよう。これ以上やったらクサくなるのでやめよう、と言うところでやめないところに妙味があり、このへんは韓流ドラマとの共通の要素だ。「抑制レス」の魅力。


それと手が届く親近感。会えるアイドル。AKB48にも共通する要素ともいえよう。


あと、ストリップとの共通点もある。脱がないストリップ。肉体を露にするのではなく、「心根」を露にするストリップだ。色っぽい裾捌きや、思わせぶりな片肌脱ぎが情を煽る。


座長がいいネェ。もう30代も後半だしずんぐりして芸者姿も天童よしみみたいだけど、美貌や若さに頼らない芸の力で場内を魅了する。北島三郎の「帰ろかな」にあわせた舞踊などは「え? この歌、こんなにいい歌だったっけ?」と思ってしまうほどの出来だった。3年前には水戸黄門のサブゲストに出ている。


若い役者さんもいい。弱冠23歳の大川史音(しおん)君もすこぶるつきの美形だが、27歳の花形女優・大川真莉亜(まりあ)ちゃんの儚くも色っぽいこと。しかも、しかもだよ、踊っている間ずっと僕と目が合っていたのだ。お互いの視線が絡み合って、ほどけなくなってしまったのだよ。

いや、そんなはずがないことはわかっている。つまり、これがいわゆる「流し目千両」と言うやつだ。もうなんていうかね、「一財産無くしてもいい」と思ったよ。惜しい!一財産がないのが。

座員の皆さんの写真は こちらをクリック

 
後半の歌謡ショーで見事なのどを披露する座長。大衆演劇の役者さんたちはみな歌がうまい。梅沢登美男の「夢芝居」、あの名曲のヒットが記憶に新しい(新しくない、新しくない)

さらには常連の追っかけのおばあちゃんにバースデイソングをプレゼントしていた。


終演後は出口でお客様を見送るサービス。僕も思わず座長とがっしり握手。小ぶりだが堅く力強い手だった。大川真莉亜(まりあ)ちゃんとも握手したかったが、あの「流し目千両」で満足。


小屋を出て空を見上げたら、通天閣が光っていた。


雨が降りそうだったので急いで阪堺電車でベースキャンプに戻り、テレビで「サマー・ウォーズ」を観て寝た。


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追記  同劇団では座員を募集しているらしい。「35才までの男・女、経験は問いません。」とのこと。あいにく僕は年をとりすぎているからだめだけど、お若い方で我こそはと思う方はぜひ。