梗塞日記〈11〉病院の仕掛人

今、日本で一番役に立たない闘病記「梗塞日記」、ぜひ各方面にてご喧伝ください。


さて、気分転換に髪を切った。理髪店に外出したわけではない。病院専門の回り髪結いさんを呼んだのだ。

理容師さんじゃなくて美容師さん。病床にあってもいつも以上のお洒落ごころで気を明るくもつ効能というのも、もちろん既に医学的な証明がなされている。


どのようにしますか、と問われて、

思わず「丸刈りで」


と答えた。



ところで、僕は病院のお仕着せのウエアが個人的にイケてないので、作務衣で通している。

だから「仕掛人・藤枝梅安」みたいになった。

池波正太郎原作の第一話にも「坊主頭に作務衣姿のまるで鈍牛(のろうし)のような中年の大男」という表現があったような気がする(初演俳優が、緒形拳でも渡辺謙でもなく、小林桂樹だったことも想像してくれたまえ)。



画像は入院3日目に、二十年来の友人・ヤス坊が差し入れてくれた「コミック版藤枝梅安(さいとうたかを)」。しまった、明らかに影響されてる。

趣味嗜好を知り尽くした友人というのも時として危険だ。



あるイケメンの作業療法士さんに「中日の森野に似ている」と言われた。残念ながらその人を僕は知らない。