迷探偵、探梅す。
昨日、映画館から足を伸ばして大國魂神社に行ったのは、別にラーメンバーガーの屋台を冷やかすためではない。
ましてや著作権無視の「ピカチュウベビーカステラ」目当てではない。
買ってるし。
僕が悪いんじゃない。金型屋が悪い。
長女・花子(仮名・高2)が「厄除けの御守りを欲しい」というのだ。
今年、「本厄(ほんやく)」だという。数えで十九か。いつの間にそんな年齢にとも思ったが、まあ、どう見ても「厄そこそこ」でしょう。
そんなわけで、一夜明けた今日になってもしみじみしていた。
「そうか、本厄かぁー。ほんやく、ほんやく、と」
そうしたら、病院の近く(というほど近くない)に、翻訳家の金原瑞人さんのご自宅があることを思い出した。そうだ、午後の散歩は金原さんの家を探しに行こう(ご住所は携帯電話に入っている)。
ツレ曰く「それ、楽しいの?」
たいして楽しくはないが、住所から場所を探すのはちょっとしたリハビリになる。
「まるで興信所だね」
私立探偵、と言ってくれ。
「見つけてどうするの?」
‥‥。ピンポンダッシュ。
「ダッシュできるの?」
できなくてもいいのだ、トレンチコートの襟を立て‥‥。もとぃ、Kaepaのジャージの襟を立てて歩き始めたが‥‥。寒い!!こりゃかなわん。やめだやめだ。
「あら、いい香り」
梅の香りがするという。中河原、分倍河原周辺は分梅町という町名があるくらいで、梅の名所なのだ。
「探偵」はいち早く切り上げて「探梅」にした。
「探梅」。早咲きの梅を求めて野山を歩くことで、冬の季語である。
果たして中河原駅近く、「住吉銀座」商店街からちょっと入ったお宅の庭先にその早咲き梅はあった。
<こしおれ>
探偵をあきらめ探梅午後の旅