映画「花と兵隊 FLOWERS & TROOPS」

遅ればせながら、映画「花と兵隊」を見て来た。渋谷のイメージ・フォーラムにて。前売り券は随分前に買っていたんだけど、なかなか行く機会が無くて今日になってしまった。

危なかった。こんな凄い映画をあやうく見逃すところだった、危ない危ない。


ドキュメンタリー映画である。先の大戦での悪名高き「インパール作戦」に辛くも生き残り、タイ・ビルマ国境付近で終戦を迎えた後、日本に還らなかった6人の未帰還兵の人生を描いた作品だ。

そう「ビルマの竪琴」の水島上等兵を地で行く人生を歩んできた人たちなのだ。水木しげるはニューブリテン現地での敗戦時に現地除隊で島に残ろうと願い出たが、信頼する軍医に止められ泣く泣く帰国したという経験を持つ。説得されずに残ったのが、この6人の男たちだ。

まあ、まずはトレーラーをご覧いただきたい。

みんな90歳前後。現地で穏やかな晩年を送っている。現地で妻を娶った。タイトルの花とはその妻たちのことだ。前半は戦後の彼らの人生とともに妻との馴れ初めをなぞる。もう、凡百のラブ・ストーリーなんぞよりグッとくる。至高の愛。


あともう少しで日本に帰れる。それなのになぜ、彼らは帰らなかったのか。敢て「逃亡兵」の謗りを受けながら・・・。彼らは、祖国を捨てるほどの何を見てしまったのか、何を体験してしまったのか。


冒頭、南国情緒溢れる蓮の葉が映しだされる。池に浮かぶ蓮の葉。真ん中に窪みが出来て水がたまっている。そこに小さな小さな魚。池とは切り離された水の中に漂う魚。象徴的な映像だ。蓮の葉は、実は端のほうには切れ込んでる部分があるから、よく見れば池に戻れるのだ。でも小魚は去ろうとしない。


驚くのがこの監督、現在30歳。撮影時28歳。恐るべき若者だ。インタビュアーとして画面にも登場する彼は、「社会派!!」という風に気負ったところなど微塵も無くて、喩えるなら「鉄腕DASH」の時のTOKIO山口達也君みたいなノリ。

ここでの公開はもう終わりが近づいているが、これから全国を回るようだ。各地での自主上映も始まるらしい。もし見かけたらぜひご覧になることをおすすめします。


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