清貧と脱俗の贅沢

会社帰りに中野で途中下車して理髪店に行った。いつもの角刈りである。

 一昨日、やまんばうさぎさんは鐡凡先生に「創作に入る前に精進潔斎したりするんですか?」と聞いていた。先生は「いやいや僕はしませんよ」と笑っておられた。

 でも僕の方は一種の精進潔斎だ。伸びかけの角刈りって法界坊か脱獄王・白鳥由栄みたいになってしまう。明日の俳画展初日に向けての精進潔斎だ。生臭は断てないし、水垢離は寒いから散髪ぐらいで勘弁ね。

 最近は1000円の床屋さんのチェーンもある。一度行ったことがあるけどいいもんじゃないな。洗髪無しだから、バキュームで吸いながらカットする。頭にバキュームを押し当てられると脳味噌吸い取られそうでいやなんだよな。

 頭洗ってもらったり顔剃ってもらいながら居眠りして、仕上げにマッサージしてもらうのは至福なのでやっぱり普通の床屋さんが良い。あの気持ちよさなら安いものだ。だいたい3500円から4000円くらいかな。

 先日、ツマがストレートパーマをかけたんだけど値段を聞いてビックリ。2回行ったらスクーターが買えそうなの。思わず、

「高え!!」

と叫んだら、

「あなたも高い」

 と反撃された。うん、たしかに角刈りというのはキープするのが大変なのだ。最低3週間にいっぺんは床屋に行かなくちゃいけない。法界坊になっちゃう(僕は髪が伸びるのが早い。髪が早く伸びるのはスケベェだって三亀松が言ってなぁ)。3週間に1回ということは一回は安くても年間で17回。年額約6万円か。やはりスクーターが買えそうだ。

 清貧と脱俗のシンボルとして短髪にしているのだが(うそ)、なかなか贅沢なものだったのだなぁ。