路傍の石

今日勤め帰り、中野で途中下車して頭を刈りに行った。

  何で中野?って思われる方もあるだろう。僕は通勤の国立←→神楽坂間の各駅に行きつけの床屋と本屋とゲームセンターがあるのだ。

  ボーズなんでね、人より行く頻度がちょっとばかり高いのだ。

 
  今日はちょっと床屋さんでトホホだった。別に仕上がりに不満があるわけではない。ちゃんと若村麻由美の旦那様のようにかっこよく仕上げていただいた。理容師さんも幸田真音ばりの美熟女で嬉しかった。

  問題は隣の席というか隣の床屋椅子のおじさんだ。たびたび携帯電話がかかってくるの。 うるさいことうるさいこと。それと聞きたくない話を聞いてしまう。

  電話は当然仕事の電話なんだけど、全部筒抜け。

  明日、六本木での商談は330万円で手を打つ話や、○△社(特に名を秘すが、誰でも知ってる総合商社)からバックをもらいたいところなんだけど相手ががめつくて難航してしていることなどを、大声で教えてくれる。

  ヲイヲイ、そんなこと社外秘じゃないのかい? 聞かれちゃっていいのかい?

きっとこのおじさんは、僕を含めた他の客や職人さんのことなど人間だと思ってないんだろうな。きっと「路傍の石」くらいに思っているのだろう。

  おじさんは、職人さんや並んでいるお客さんを散々待たせた長電話が終わると、とたんにガーガー寝てしまった。

  僕は「この人には一生勝てない」と思いつつ、きっと石のような表情となっているであろう自分を感じた。