天下市の怪人

昨日は「プロジェクトT」の話を書いた。実は他にももっと嵐山先生関連でプロジェクトはある。

  でもあんまり、ペラをまわすと(おしゃべりをすること。『塀の中の懲りない面々』で覚えた)マスオさんに怒られるので、もう数日したら発表しよう。

  ヒントとして嵐山先生がキャットフィッシュで絵筆を走らせていたことだけを報告しよう。なにやら白髭の仙人のような人物画のように見えたが・・・・。


  さて、ここからが今日の本題。

  すっかり国立名物の天下市であるが、これが登場する文学作品をご存知だろうか。

  もちろん嵐山氏の作品である。『活字の人さらい』(メディアパル・ちくま文庫)。昭和30年代の国立を舞台にした自伝的小説だ。

  親本で言うと176ページに登場する。文庫本は今、探したのだけど見つからない。

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  11月に入ると(中略)天下市が開かれます。大学通りのいちょうの枝に提灯がぶらさがり、道路沿いに、市がたちます。おもちゃ、文具、本、、セーター、靴、米軍払い下げジャンパー、帽子、カバン、漢方薬、化粧水、シーパン、鍋、籠、絵画、ハリガネ細工、陶器、人形、骨董品、自転車、花と、町じゅうの商店が店を出します。古レコードもあればトランジスタラジオまでなんでも売られています。
  町の住人で、趣味で作っているセーターや編み物を出す人もおりますし、自宅の倉庫から古本を出して並べる人、盆栽を売る老人、野菜を売る農家もいます。(中略)
  ちょうど一橋祭と重なることもあって、いつもは閑散としている大学通りは人であふれるのです。(中略)タマダ自転車店は中古自転車に色を塗り替えたものを7台並べ(中略)ケーキ店白十字は特製クッキー大安売りで、日用雑貨のカド屋は・・・・
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といった感じ。ここで主人公・祐太は事件の鍵を握る男、津久井と出会うのであるが・・・・、なんかその時代の空気みたいなものが伝わってくるじゃありませんか。特に国立に住んでる人は読まない手はなかろう。

もちろんこの本も29日のサイン会で並べられるはずだ。


括目して待たれよ