ホッケの意趣返し

今日の夕飯はホッケの塩焼きだった。

「なんだよ、居酒屋みたいだな。北の家族は心の居酒屋です」

なんて言ってたらバチが当たった。ノドに骨が引っかかってしまったのだ。鶴の恩返しならぬ魚の怨返し、ホッケの意趣返しだ。

ちょうど微妙なところに引っかかってなかなか取れない。鏡で見ると見えるんだけどね。毛抜きがわずかに届かない。

ツレにも協力してもらったんだけどなかなかうまくいかない。

そうだ、魚の骨がノドに引っかかったときはゴハンを丸呑みすればいいとおばあちゃんの知恵袋に書いてあったぞ。おお、そうじゃ。

呑んでみた。取れない。

また呑んでみた。取れない。

またまた呑んでみた。やっぱり取れない。

ノドの痛みは消えぬまま、胃ばかり重くなっていく。なにしろ食事をしたばかりでもとから満腹なのだ。


ええいもう一回と毛抜きと手鏡を持って立ち上がったら、手鏡から鏡がポロッと落ちてガワだけが残った(幸い巧くキャッチして割れはしなかった)。

馬手に毛抜きを持ち、弓手にガワのない板鏡をもって再挑戦。

あ〜〜〜〜〜〜〜と声を出しつつノドの奥にググッと毛抜きを突っ込む。


取れた。まるでテグスのような細い骨。

ノドの奥がちょっと痛い。つついてしまったみたい。

「ところで使う前にちゃんと毛抜きの消毒した?」

あ、してないや。


ノドが痛い。それはしょうがないとして、胃が重いのがなんとも腹立たしい。