言霊と、人を見る目

僕は言霊を信じるね。昨日、ニッカポッカと鳶職の話をしていたら、今朝早速ご縁があったんだもの。

朝、仕事に行こうと家の玄関を出た途端、目の前にニッカポッカを穿いた鳶職のお兄さんがいて、道を聞かれたのだ。他にも通行人はいたのに僕を選んで道を尋ねるとはいいセンスをしている。僕はそういうのが得意中の得意だ。

足場を組みに来たのだけど現場の場所ががわからないという。

彼が話す断片的な手がかりで、うちの生活圏からはだいぶ離れたその場所をほぼ特定できた。しかも一方通行が多い国立の道を無駄なく到達できるルートを教えることもできた。永年この町に住んで車にも乗り、配達のボランティアもしたことがあるから、だいたいのことはわかる。

丁寧に礼を述べて彼はトラックに乗って去って行った。ちょっと方向音痴の気があるらしい彼も、人を見る目だけはあったおかげで無事に目的地につけそうである。よかったよかった。

なんて思っていたのだが、さっき真相(?)を知った。

彼は最初、家の前の道を掃き掃除をしていた僕の母(隣に住んでいる)に尋ねたらしい。母は当然わからない。その時、ちょうど僕の家の玄関が開く音がしたから、

「そういうのは息子が得意だから聞いてみなさい」

と言ったいう。なんだ、そんなカラクリがあったのか(別にカラクリでもなんでもないが)。おばあさんにそんなことを聞いてもわかるわけがない。方向音痴の上に、人を見る目がないやつだ。


ところでその鳶職のお兄さん、スキンヘッドで、まるでストロング金剛か大前均のような偉丈夫だった。うーむ、足場というのは存外、頑丈なものらしい。


シャツは多分、昨日の虎太郎のとお揃いだったなぁ。