入管で連行される 〜北京管見②〜


・・・・・旅の初日(3月20日)・・・・・


空の旅は「(ダイエットしたおかげで)広いシートのエコノミー席」で快適だったがその次がいけなかった。


北京空港の入国審査で引っかかってしまったのだ。


それはそうだ面相が違うもの。パスポートの写真は115キロで角刈り。神楽坂の寺内貫太郎と言われていた頃である。今は72キロとなり髪も伸びた。白髪も増え全体にかれた印象となり、先日などは「養老孟司に似ている」とまで言われた(頭の中味が似ればいいのだが・・・)。


係官は初めはニヤニヤして見比べていたが、そのうち怖い顔になり「この他のIDカードを見せろ」と言い出した。もちろん素直に見せたがその免許証も寺内貫太郎だ。係官はヤレヤレという顔をすると監督官みたいな上司(係長か)を呼んだ。


「どうでしょオヤブン、こいつ。怪しくありません?」


と言っているようだ。


僕の後ろに並んでいた同行の長男・虎太郎は、たった一人で取り残されて不安な表情を浮かべて・・・・・いれば可愛いのだが、「ちょーウケるし!!」などと言ってゲラゲラ笑っている。


係官は渋い顔をして僕に


「your son?」


と聞いてきた。


「NO!」


と答えたかったぜ。


一方の係長は怖い顔をして僕の顔とパスポートと免許証を三角に見比べていたが、やがて失望を顔に浮かべ、傍らの電話でどこかに電話をした。そしてちょっと離れた場所にあるブースに連れて行かれた。



そこには若いエリート風の課長(多分)がいて、なにか聞かれたが、僕は英語のヒアリングがほとんど出来ないので


「???」


だった。そのうち


「オーケー・・・・」


と言って解放してくれた。思想的背景もテロをする志も無いのがお分かりいただけたらしい。


虎太郎は困っている僕を見てうれしそうだったが、さらにその後ろに並ぶアメリカ人の団体さん(なぜアメリカ人というのはあのように団体旅行が好きなのだろうか)は、もの凄く迷惑そうだった。



それにしてもこの先、海外旅行のたびにこのような面倒な思いをするかと思いとうんざりするなぁ。有効期限はあと8年ある。わざと失くして再発行しようかなぁなど本気で思ってしまいますですよ。