瀋陽、右往左往 先生は大王

・・・・・5月4日(3日目)の旅日記<12>・・・・・・

そういうわけで、お腹がすいちゃったんです、先生。


ホテル近くの「太原北街」でバスを降りて、一度ホテルに荷物(邪魔なクロスボウ)を置きに帰ろうと思っていたのだが、あまりにもお腹がすいていた。それに気になるお店があったので、そこに入ることにした。


ホテルの隣の「美国加州牛肉面大王」である。


凄い名前だな、牛肉面大王。顔が霜降りになった王様でもいるのか。


これを解説すると、

「美国」=「アメリカ」

「加州」=「カリフォルニア」

「牛肉」=「牛肉」(当たり前)

「面」=「麺」

なのである。つまり「カリフォルニア風牛肉ヌードルの店」なのである。

瀋陽中どころか、中国全土にたくさん店を持つファーストフードチェーンである。ファーストフードといっても、ほとんどメニューは「牛肉ヌードル」しかないが。


看板右端のおじさんが、トレードマークの「李先生」である。

ま、言ってみれば、ケンタッキーにおけるカーネル・サンダースマクドナルドにおけるドナルド、ベニハナにおけるロッキー・青木みたいなものである。


冒頭の「お腹がすいちゃったんです、先生。」というのは、李先生への問いかけなのだ。

それにしても「大王」に「先生」とはいずれにしても偉そうな名前である。


ファースト・フードだが、ウェイトレスさんが注文を取りに来て、また運んできてくれる。

上の写真の左側のウェイトレスさんが僕らを担当してくれた。


注文したのは、「大碗加州牛肉面」を各1と、「加州鶏」。〆て40元。640円。決して安くは無い。


「牛肉面」の麺は中華麺というよりウドンに近い。いやウドンみたいにモチモチしてない。沖縄ソバに近いかな。スープは意外にあっさりしている。というか、ちょっと物足りない。なんか薄ボンヤリした味。三吉の箸も進まない。

これで「大王」とはおこがましい。


一方の「加州鶏」は蒸し鶏をラー油で合えたもの。これが辛い。辛すぎ。

これが「先生」とは笑止。

物足りない「牛肉面」と辛すぎる「加州鶏」。うまくいかないものである。


ふと思いついて、物は試しと混ぜてみた。そうしたら・・・、最高に美味しい担担麺が出来上がった。三吉も「これはうまい」と夢中になって食べ始めた。


これなら大王、これなら大先生。

瞬くうちに完食。おちついて周りを見回すと、各テーブルの上には瓶があって、その中には真っ赤なラー油が入っていて、みんなそれをたっぷりかけて食べている。なんだ、もともとそうやって食べるものなんだ。もぉ、言ってくんなきゃ、って言ってもわからなかったと思うけど・・・・。

ウェイトレスさんに「ハオチー」といって店を出た。


ホテルにクロスボーを置きに行く。満腹になったら眠くなった。かと言って、ここで寝てしまったらもったいない。フカフカのベッドを見ないようにして、クロスボーを投げ出し、ホテルの部屋を飛び出した。

    ( つ づ く )