《11月28日の旅日記から》
そんなわけで紀勢本線の藤並駅に着いた。降りる人は僕のほかにいない。無人駅である。18時36分。真っ暗。駅前には原野が広がる。遠くに黒い山影のみが見える。星の位置を頼りに僕は歩き始めた。寒い。生命の危機すら感じる・・・。
なんてことはなく、10人以上の人が降りた。ちゃんと駅員さんもいる明るく真新しい洒落た駅舎だった。駅前にはちらほら商店もある。
小型車のヘッドライトが光った。僕は暖房の効いた温かい車に乗り込んだ。
これから訪ねるのは「猟師」のKさんだ。
バスの便が少ないので、最初は御坊か和歌山からレンタカーで行こうかとも思った。でもそうしたら特急列車でのお楽しみの「かわきものと缶ビール」が楽しめないなぁと思っていたら、「迎えに行きます」とのありがたいお申し出。ついお言葉に甘えてしまった。
迎えに来てくれたのはKさんの奥さん。山に向って走る。あれ? コンビニなどもあるじゃないですか?
「このへんだけですよぉ。ここからグッと山の中に入っていきますから(笑)」
そこかしこに蜜柑の木がある。さすが蜜柑王国だ。蜜柑畑が、というより、街道沿いの立ち木が普通に蜜柑の木、と言う感じ。ヘッドライトに蜜柑の実が黄金色に光る。地面には蜜柑がポロポロと落ちて転がっている。美味しそーーー。ウィンドーをあけて手を伸ばしたくなった。
暫く走ると、本当に山道の中に入って行った。あたりにお店などない。そのうち蜜柑の木も見かけなくなった。黒い山影だけが見える。
九十九折れの細い山道を軽快に走る小型車。すばらしいハンドルさばき。嗚呼、レンタカーにしなくてよかった。シラフでも僕にはこの道は走れない。
ところで、今ってもう猟期ですよねぇ?
「ええ、よく山に入ってますよ」
猟ってどういう風にやるんですか? たとえばワナなんか。
「それは・・・。本人に聞いてください。私ら見たことありませんから(笑)」
走りこと約40分。いくつもの峠を越えいくつかのトンネルを越えると、やがて車は視界の開けたところに出た。
目指す美山村。いや平成の大合併によって生まれかわった「日高川町」だ。
ほどなく車はKさん宅に着いた。
「さ、どうぞ。蕃茄さんが来られるって言うんで、夫と義兄さんが食事の用意をしてますから」
え? Kさんとお兄さんがですか?
「ええ、2,3日前に山に罠を仕掛けて、いいのが獲れたらしいですよ」
というわけで今回の旅は、いきなりクライマックスを迎えてしまうのである。
驚愕の宴のリポートは、明日の予定!!
〔続く〕
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