〔4月25日の日記の続き 3〕
1時に始まったこのリサイタル。終わったのは2時半。そとはポカポカ陽気。
「実は明朝の締め切りがあるから、あまりゆっくりもできないんですよ。だから、銀座あたりで軽く行きますか?」
と坂崎さん。僕も「龍馬伝」見たいし、明日は5時起きだったりするから、そうですね軽く。
エッセイストの坂崎重盛さん。当代随一の粋人にして街歩きの達人である。まずは近年の著作リストをご覧くださいましな。坂崎さんの案内で「軽く銀座」とはなんて素敵。
そんなわけで、人形作家の石塚公昭さんと僕は黄門様に従う助さん格さんのように着いていったのだった。でも日曜日の真昼間、やっているとこあるのかなぁ。
四谷から丸の内線で銀座へ。地上に出たらコリドー街を新橋方向に歩き、線路沿いに出たところのドイツ風ビアレストラン。こういう店は開いているのだなぁ。
まずはビールで乾杯。ジャーマン・ポテトやザワー・クラウトがうまい。
あんまり長居しないのが坂崎流。
「じゃ、もう一軒だけ行きますか」
と行ったのは立飲みの刺身居酒屋。焼酎を飲みながらマグロブツ、ハマチ、うめー。油がよく乗っている。平日の夜などは行列が出来る店だそうである。キャパシティはスシ詰めで6人くらいか。
もちろん、あんまり長居しないのが坂崎流。
「じゃ、もう一軒だけ行きますか」
と行ったのは、うなぎの寝床のような細長いバー。若い女の子のバーテンさんが礼儀正しく気持ちがいい。
坂崎さん、ここでは
「えーとねぇ、一番安いウィスキーにレモンを多めに絞ってハイ・ボールね」
同じ台詞でも僕が言ったら単なるケチなんだが、坂崎さんが言うとかっこいいから不思議だ。いや本当は全然不思議じゃない。
ここでもあんまり長居しないのが坂崎流。
「じゃ、もう一軒だけ行きますか」
と行った4軒目はシェリー・バー。甘いお酒はあんまり好きじゃないんだけど、これは美味しかったなぁ。まるで糸をひきそうなぐらいとろりとして濃厚で。
この辺になると僕の記憶もだいぶアヤフヤになってくる。もう何を話したのか憶えてないんだけど、ゲラゲラ笑って過ごしたのを憶えている。そして何度か坂崎さんに。
「どしたの蕃茄さん、なんか寝てますけど」
と笑われたのは憶えている。
そこに「太平の眠りを覚ます上喜撰」。たった四杯どころか数え切れないほど盃を重ねた酔眼朦朧を覚ますことが起きた。
それは一本のメールだった。
<つづく>
「幻燈展」は5月14日(金)から!!
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