八戸の話のついでに・・。
夢の話とモテた話ほど他人にとって退屈なものはない。わかっているけど、今回だけお付き合いいただきたい。
今回だけ。次はない。
僕が八戸に行ったのは3回目。
初めて行ったのは18歳のときの一人旅。夏、ちょうど八戸三社祭のときだった。
豪華絢爛の山車が街中を練り歩く。その山車の上の絵物語の人形がみんな海老蔵(現・団十郎)の顔をしている、と祖母に絵葉書を送った記憶がある。
無論、祖母に絵葉書を送るくらいだからモテたのはその時ではない。
(三社祭の山車は三宮麻由子さんのサイトのトップでごらんください。)
次に行ったのは19の時。やはり一人旅。
現地で交通事故にあって病院に運ばれた時のこと。
よく聞くことだけど、怪我をしたりすると妙にハイになることがある。身振り手振りで事故の様子を物語ったんだけど、それが妙に若いナースたちにウケたのだ。
仮にも落語研究会と歌舞伎研究会で修業を積んだ男の仕方噺である。自分でもいい出来だったのだ。
ホータイを巻いてもらいながら熱演する僕の周りにはナースが一人増え二人増え、ついには煙管の雨が雨が降るようだった。
そんなわけで「いやーモテたねぇ。まるで煙管の雨がふるようだったよ(←しつこい)」などとニヤニヤしつつ、腕を三角巾で吊った姿で、旅を中断して寝台特急で帰ってきたんだけど…。
冷静に考えると、あまりにハイな言動に「この子、頭打ったんじゃないかしら」って心配になってみんな寄ってきたのだろう。
それでも「モテた」という蜃気楼のおかげで辛い敗残の旅を楽しく過ごせたからよかったのかな。