と、10歳年上のジャーナリストの鉄人ぶりに驚き、「酒の無い国に行きたい」と慨嘆した僕であったが、その晩には呑みに行ってしまうところが愛おしいね。
いや、目的は酒ではないのだが。
仲良しのジャズシンガー・亜樹山ロミさんからライブのお知らせをいただいていたのだ。お店は高田馬場「サニーサイド」。
あれ? 高田の馬場のサニーサイド? バスの車窓から見てずっと気になっていた店だ。
ジャズバーと言うとたいていちょっと薄暗い店なのだが、この店は店名のとおり妙に明るい店だった。新聞が読めるくらい。ランチが美味しい喫茶店のようだった。これは女性にも入りやすいな。と思ったらお客の8〜9割が女性だった。
店に入ると奥からロミさんが飛んできてくれた。ロミさんは、僕がかれこれ21年追っかけている練達のジャズヴォーカリスト。でも21年間全然かわらない。僕だけがじじいになっていく。
僕もこの店初めてだけどロミさんも初めて。この店のレギュラーのベテラン男性シンガー・原野カズヨシさん(「しゃぼん玉ホリデー」にでていたらしい)のゲストとしての出演。おしゃれでかっこいい小父さんだった。
二人のデュエットで始まり、ロミさんのソロも三曲聴けた。歌に関しては何も言うことがない。磐石の安定。安心してその調べに身を委ねられる。アルコールの効用もあり身も心もグニャグニャにときほぐされる。
僕は体力が無いので、いつもラストステージ(最終セット)まで聴けない。いつも「明日が早いので」と言い訳して早めに帰る。
ロミさんも心得たもので、「まだ魚河岸に勤めてるの?」と返す。
そんなこんなで21年経ってしまった。
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