「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(太田記念美術館)


6月23日(木)の日記で、目白の切手の博物館に行った僕が「ポストの写真を撮っていた僕は衝撃を受け思わずこぶしを振り上げた」と書いた件である。


この写真ね。



ポスト自体は何の問題もない。というか珍しくない。これをありがたがる人が良くあるが、国立では普通に現役である。道が狭い国立では箱型は邪魔なことが多いのだ。そんなことより問題はそのポストの後ろに貼ってあるポスターだ。



「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展。太田記念美術館にて。ふむふむ。


「前期〈豪傑なる武者と妖怪〉6月26日まで」


えー!? 今週末まで!? もうすぐ終わっちゃうじゃん。


そんなわけで、「こんな大事な情報見逃すなよ」と自らの頭をポカリとやろうと思わずこぶしを振り上げたのだ。


もちろん実際に振り下ろしはしない。僕の頭は「塀の上の卵 」、英語で言うところの「Eggs on the wall」( いや日本語でもいいのだが)なので衝撃は禁物。王様の馬と王様の家来みんなで元には戻せない。「国立のキム・イル」と異名をとったのも昔の話だ (とってないとってない)。


で、早速24日に行こうと思ったのだけど、野暮用でいけなくなっちゃったので、昨日25日(土)の一番で行ったのだ。



太田記念美術館原宿駅から徒歩5分。表参道と竹下通りの真ん中、ラフォーレのすぐ裏、って書くとどんな繁華街かと思っちゃうけど、閑静な準住宅街にある。


江戸時代後期を代表する浮世絵師、歌川国芳(1797-1861)。幕末の動乱期、その閉塞感 (平成23年の日本にも通じる)を打破するような派手な武者絵や洒脱な戯画で江戸人の喝采を浴びた。決して本道ではなく長く異端としての扱いを受けてきたが、その破天荒な作品が近年再評価され、人気が高まっている。


今年は歌川国芳の没後150年。これを記念したのがこの展覧会で、武者絵や妖怪画からなる【前期 豪快なる武者と妖怪】と、戯画や洋風画からなる【後期 遊び心と西洋の風】という二部構成。その前期がもう終わっちゃうのだからそりゃ慌てますよ。


面白かったなぁ。代表作の「相馬の古内裏」のど迫力を見よ。


相馬の古内裏


それから武者絵の傑作「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達」。水滸伝百八人衆のうちでも有数の武闘派の豪傑・花和尚魯智深のこと。ちなみに「花和尚」とは「お花が好きな和尚」ではなく「全身刺青の和尚」という意味。サウナで断られるタイプ。40年前の伝説のドラマ「水滸伝」では長門勇が演じた。


なんつーか、「劇画!!」だなあ。


花和尚魯知深



同じ人物を描いても北斎とはだいぶ違うでしょ?


花和尚魯知深

葛飾北斎「花和尚図」


他にも見たかった作品もたくさん見られて大満足。ギリギリ見られて良かった。残念ながらこの前期展示は今日26日で終わってしまうのだけど、7月1日からは下期が始まる。こちらも必見だなぁ。大好きな「荷宝蔵壁のむだ書」も展示されるし。


荷宝蔵壁のむだ書


こういう確信犯、好きだなぁ。


そして、この太田記念美術館を出た僕は表参道をぶらぶら歩きつつ東上し、昨日の日記でご紹介した「HBギャラリー」に向かったのである。<今日の一句>


梅雨空を 切り裂け猛き 破天荒


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ご意見、ご希望は下の「コメントを書く」欄へ。内密な話はメールで。