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さて、昨日予告した「イイ声の陥穽について」である。
世の中には声のいい人がいる。以前に誰だかのエッセイで読んだのだけど、その人(男性)は、俳優の伊武雅刀と一緒にタクシーに乗ったそうである。「国道を郵便局で左に折れてその先のコンビニで右に折れて路地に入って…」と伊武さんが運転手さんに道順を説明するのを聞いてウットリしてしまったという。わかるわかる。
僕もこの春に経験した。我が家の玄関に手すりをつけたのだが、その職人さんがイイ声だったのだ、低く響く。事前に来てもらってサイズや体裁を相談したのだが、そのイイ声に聞き入ってしまって、話の内容を忘れてしまったのだ。僕もツレも。
「で、結局、どういう風に決めたんだっけ」
「さあ」
もちろん工事は何の問題も無く、毎日重宝している。
評論家の姜尚中先生もイイ声だ。あのルックスに加えてあの声には説得されてしまう。あれで声が鳳啓助だったらあれほどの説得力は無いだろう。
なんでそんなことを考えているかと言うと昨日のＪＰＩＣ読書アドバイザー養成講座スクーリングにゲストとして登場の福岡のＯ氏(いまさら匿名にしてどうする)がすごくイイ声だったからだ。お話の面白さもあいまってすっかり感服してしまった。
以前、ずっと以前の上司がそうだった。バリトンのすごくイイ声。ちょっとした一言がすごく含蓄があるように聞こえる。ちょっと「？」な指示にも、つい従ってしまう。
これでカラオケなどいったらどんなに素敵だろうと思うんだけど、これがよくないんだ。周りも｢あの人も歌さえ歌わなきゃねぇ｣と言っていた。つまり「天は二物を与えず」という、思わぬ陥穽が・・・、いかん、途中から別の話になってしまった。<今日の一句>
うまし声 ひねもす響く 秋の窓
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