「浅川マキの夜」の打ち合わせ - 国立駅前・ギャラリービブリオ連絡版(蕃茄庵日録別板）

朝、スマホが音もなく光っていた。

出ると萩原信義さんだった。浅川マキさんが最も信頼したギタリスト。あと一か月と迫った「浅川マキの夜」のゲスト。今日、会場の下見に来られるという。

中川五郎さんから「畳敷きの14畳でノーマイクノーアンプ。キャパは30で観客は座布団」という概要をお聞きになって「？」と思って会場を見に来られるという。

昼過ぎに萩原さんは来られた。メールでのやり取りはしているが初対面。

会場の広さ、ステージの広さ、客席の体裁、ノーマイクノーアンプだけど設備はある点、控室、喫煙所、打ち上げの設備等をご案内。

「安心しました」

とニッコリ。全国を演奏して回っていると想像を超える会場があるらしい。大丈夫です。みなさん演りやすいと褒めてくれています。

当日の段取りなども相談。

「トークは寺本さんにおまかせしますよ」

当日はもうお一人、音楽プロデューサーの寺本幸司さんも来られる。浅川マキさんのほぼデビューから亡くなるまで伴走した人。イギリスで発売されたアナログのベスト盤をお持ちいただく予定。

「ほほう、これがリンゴちゃんですか」

と一生懸命「田端義夫ベスト」を回すりんごちゃんを見て、

「いい音出しますね、楽しみです」

とニコリ。

浅川マキさんの七回忌に浅川マキさんをもっともよく知るお二人を招いたトークライブイベントが開かれて、しかもその会場がビブリオなんて光栄すぎます。

その後は四方山話。ビブリオの喫煙スペースを褒めていただいた。タバコを吸わない僕が一生懸命考えて設置した喫煙スペース、結構評判がいい。気持ちよく吸えるんだって。

ちょうど持っていた本が読了されたというのでそのままお借りした。

右の本の著者・藤脇邦夫さんには20年くらい前、原稿依頼をしたことがある。当時、ご著書が出版業界で大変に話題になっていたのだ。藤脇さんは快く執筆してくれて原稿は郵送やファックスではなく手持ちで届けてくれた。

出版幻想論

作者: 藤脇邦夫
出版社/メーカー: 太田出版
発売日: 1994/05
メディア: 単行本
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かなり刺戟的で身も蓋もなくリアルな内容だったが、その「身も蓋もなくリアルな部分」で飯を食っている立場の僕には首肯できる部分も多かった。

そして今回の本。

出版アナザーサイド

作者: 藤脇邦夫
出版社/メーカー: 本の雑誌社
発売日: 2015/12/08
メディア: 単行本（ソフトカバー）
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「出版アナザーサイド　1982-2015」。　1982-2015とは藤脇さんが出版業界にいた期間。僕は1983-2012。ほぼ同時代なのでより身近に感じられる。

最近、というか病後は本を読むのがすごくおそくなっちゃったんだけど、これは一気に読んじゃいそう。

話しているうちに萩原さんは僕と近いタイプだということが分かった。イベントなどに際し、いろんな可能性を考えていろいろ準備をしたいタイプ。「なんとかなるでしょ」なんてことはまず言わない。たとえ「なんとかなった」としてもそれは「なんとかなった」んじゃなくて「頑張ってなんとかした人がいた」ことが見えちゃうんです。だから今日できることを明日に延ばすことが苦手。

打上げではぜひその辺のことも語り合いたいと思った。

「なんかすごいことになりそうですね、楽しみです」

と顔を見合わせ1か月後の再会を約した。

・・・数冊出てきて再び発売中・・・・・

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