映画『なりゆきな魂、』予告編 - 国立駅前・ギャラリービブリオ連絡版(蕃茄庵日録別板）

戦後間もない貧しい下町の一角。進駐軍の米兵相手に喧嘩を挑む男、京成サブ(三浦誠己)。何度殴られても挑みつづけるその姿をひとりの少年が見ていた。警官が駆けつけて逃走したサブを追って、少年はどこまでも追いかける。葦の原が生い茂る晩秋の川原に釣竿をさすふたりの老人、花村(柄本明)と仙田(足立正生)。めったに人の来ないはずの穴場に車が停まり、見ると男が女に無理やり乱暴しようとしている。見かねたふたりは有希(山田真歩)を助けようとするが、逆上した城ケ崎(後藤剛範)は殺意をむき出しにして容赦なく暴力を振るう。三人は必死に抵抗するうちに歯止めが利かなくなって――

映画『なりゆきな魂、』は、映画『なりゆきな魂、』は、兄・つげ義春の影響で漫画を書き始め、沈黙の時代をはさみながら断続的に作品を発表している孤高の漫画家・つげ忠男の「成り行き」「つげ忠男のシュールレアリズム」からの4篇に、バス事故に運命を翻弄される被害者遺族たちの顛末を描いた瀬々敬久監督のオリジナルストーリーを加えて、1つの物語として創りあげた作品。

『ゲンセンカン主人』でつげ義春役を演じ、『無頼平野』ではつげ忠男役に扮した佐野史郎が再び忠男役に挑むほか、柄本明、映画監督であり俳優の足立正生、山田真歩、三浦誠己、町田マリー、胗俊太郎、中田絢千、川瀬陽太ら個性派俳優たちが集結する。

突然人生を見舞う不条理。生と死が紙一重の儚さ。偶然と運命が一瞬に入れ替わる理不尽。それぞれのエピソードは独立して直接絡み合うことはないが、生と死をめぐるドラマとしてどこか重なり合い、響き合い、つながる。映像では、本作で描かれるつげ忠男の作品に込めた思いを受け止めた瀬々敬久監督が描く、衝撃的な場面の数々が収められている。

原作はこの本。