10億円と百合の花

いつもお世話になっている経営コンサルタントの朝倉潤さんと、東小金井の彼女のオフィスで打ち合わせ。
 話題は政府助成金補助金、特別融資、借換制度などなど。コンビニで買っていった200円のチョコボールを食べながらも、話だけは10億20億の世界だった。

 「2億? たったそれだけ?」なんて(笑)。
 天下国家を論じるというのはケタが大きくて面白い。気宇壮大になれる。大風呂敷ともいう。

 ちょっと資料の受け渡しのつもりが話が弾み、夜の11時を回ってしまった。

 
 東小金井の駅に駆け込んだら、改札のある跨線橋のコンコースで、サマーセーターにスラックスの60歳くらいの女性がなにか作業をしていた。
 
「なんだろう、こんな夜更けにおばさんが」
 
 と思ったら、生け花だった。
 コンコースにある生け花のショーケース(っていうんだろうか)に新しい花を活けてくれているところだったのだ。

 百合を中心にした伸びやかな印象の作品だ。
 
 「ふーん、きれいなものだな」
 
 それにしてもああいうもの(駅の生け花など)っていつもそこにあるものであって、誰かがそれを作っているシーンなんて想像したことも無かったので、花の美しさへの驚きもあって、ちょっと立ち止まってしまった。

 活け終えてケースの扉を丁寧に閉めた彼女は、僕の視線に気がつくとちょっと照れくさそうにニコッと微笑んでくれた。そして駅員さんに会釈して小走りで帰って行った。

 
 ショーケースには貼り紙がしてあった。
 「長い間可愛がっていただいた東小金井駅の生け花ですが、駅舎の建替えに伴い、9月15日をもって終了することになりました。長い間ありがとうございました。」
 
 不思議とこういうものって終るときになって初めて気がつくんだよね。

 新しい駅舎になってもどこかに花を飾る場所ができればいいなぁ