今更言うまでもない古典的名作を読んだ。『モルグ街の殺人事件』。古典的名作ではあるが、ミステリーがあまり得意でない僕は今まで読んだことがなかった。
しかも岩波少年文庫である。少年の称号を返上してからもうかなりたつ(「永遠の少年」ていうタイプでもない。子どもの頃からオヤジといわれていた)。
なぜ読んだかというと翻訳に惹かれてだ。金原瑞人訳。
最近、故あって金原瑞人訳に凝っているのだ(この「故」についてはいずれご説明する)。
食わず嫌いはいけないなあ。こんなこというと笑われるかもしれないが、こんな面白いものを避けて通っていたのか、俺は。
少年文庫とはいえ、ルビと活字の級数以外は大人向けと変わらないのはシリーズのコンセプトであろうが、平易にして格調を失わないのは金原訳の真骨頂だろう。
「アッシャー家の崩壊」も収録されている。
「アッシャー家の崩壊」といえば忘れられないことがある。「中一コース」で読んだのだから、それこそ僕が本当に少年だった頃だ。
二人の男がいた。彼らは羊泥棒だ。ある夜、牧場に忍び込んで、毛がふさふさと長くコロコロと太った羊を盗んだ。山分けしようと解体していたら、兄貴分の方が肉を抱えて逃げてしまった。そこで弟分、残された羊毛の束を手に一言、
「あっしは毛のほうかい?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すみません、魔がさしました・・・・・・・・・・・・・
でもこの本はホントに大人にもお勧めです。