潮田登久子写真展「本の景色」

banka-an2003-12-05


潮田登久子さんの写真展「本の景色/Biblioteca」に行ってきた。会場は早稲田大学中央図書館のラウンジ。

  同内容の展示を今までコンテンポラリー・フォトギャラリーや東京国際フォーラムでされてきたが日程が合わず涙を呑んできた。今回も危うかったが最終日の今日、すべり込めた。

  「本の景色」というタイトルのとおり、被写体は本。本をオブジェとしてモノクロ写真で写すのが今回のテーマだ。
  虫に食い荒らされてすっかりレースのようになってしまった経文。日にかざすと虫が穿った穴がきれいな幾何学模様に見えるのが不思議。その光には神々しささえある。
  中世ヨーロッパの古く巨大な聖書。黙ってそこに置かれているだけで辺りを睥睨する憂鬱な廃帝のような威圧感を感じさせる。月並みだけけど「薔薇の名前」を思い出す。
本と言うものの、他のものとは違った存在感を再認識してくれる展覧会だった。最終日に間に合ってよかった。

  ちなみに被写体の多くは早稲田大学図書館特別資料室、国立国会図書館の蔵書だそうだ。デリケートなものの撮影に協力した懐の深さに感服した。


  潮田さんは、今も続く僕の「中華熱」の原因を作った中のお一人だ。夫君は同じく写真家の島尾伸三さん。ご夫婦での仕事もかなりある。そのペアの仕事の多くが中国関連だ。
  中国雑貨のキッチュな魅力を最初に日本に伝えたのが島尾・潮田コンビだ。名著・『中華人民生活百貨遊覧』(新潮社とんぼの本)が出たのが約20年前。その本の中に出てくるプラスティックの雑貨のキラキラピカピカにすっかり魅せられてしまったひとりが僕というわけだ。この本のおかげで北京、天津、上海、蘇州、大連、香港、台湾などにキラキラやピカピカやペラペラを探しに行くことになってしまった。

  それと忘れてはならないのが「冷蔵庫」だ。数年前の「冷蔵庫の写真展」がずいぶんと評判になった。いろんな家庭の冷蔵庫のドアを開け放ったところを正面から撮ったもので、冷蔵庫を通して、人の暮らしが浮き彫りになると言う面白い試みだった。

  ちなみにお子さんは若者のカリスマ、しまおまほ さんだ。