奈良のついでに近江まで

今日は日帰り出張で奈良。やたら本数が増えたのぞみちゃんで京都に出て、そこから近鉄で奈良へ。奈良と言ってもいささか広うござんすが、長屋王の木簡が出土したあたりである。


 仕事もほぼ順調に終わり、時計を見たら三時半。うーん微妙な時間。とりあえず近鉄で京都に戻った。京都駅からただちにまた新幹線に乗って東京へ向けて・・、ってことができるようなら僕にもまた別の人生があっただろうと常々思っている。JR東海道本線に乗り換え米原方面へ向かった。
  

 会いたい人がいるのだ。滋賀県近江八幡でイシオカ書店を経営するOさん。「本と音楽を楽しみながら、転がり続ける本屋です」がキャッチフレーズだ。先日、12月6日にご紹介した、広島の重政さん同様、面白いホームページを運営されている。

 まず日記にOさんが書く本に関するエッセイが面白く、はしばしから「只者ものではない感」が香っている。またBBSもにぎわっている。先日は「前田のクラッカー」の話で盛り上がっていた。

 
 そしてこのお店、一部でとても有名な書店だ。それは書皮、すなわちブックカバーが日本一なのである。書皮友好協会という書店のブックカバーを偏愛する団体が毎年発表する「書皮大賞」で2年前にグランプリを受賞しているのだ。フォークシンガーの友部正人さんのイラストを使ったとてもしゃれたものだ。


 そう、友部さんとも親しく、ご当地において友部さんはじめ多くのコンサートなども企画され、自身ステージに立つこともあると言う。

 
 そんなこんなで一度お会いしようと思っていたのだけどなかなか機会が無かった。最近関西巡業が少なかったのでね。そこに急に奈良出張の案件が持ち上がったので、ついでといっては甚だ失礼だが伺おうと思ったのだ。だけど出張仕事は水物で突然長引いていけなくなる可能性もあったので事前には連絡できなかった。

 
 でもお土産に「前田のクラッカー」をカバンに忍ばせていくあたりがウケ狙いとディティールに悪凝りする僕の悪い癖だ。


 お店はホームページに地図と店舗写真が載っているので迷わず行けた。近江八幡駅から徒歩10分ぐらい。

 
 お店にはいるとあいにくOさんは外出中だったが、店の人に来意を告げると携帯電話で連絡をとってくれた。前田のクラッカーをお渡ししたら予想以上に喜んでくださったので大阪産の商品を東京で買って滋賀に持っていくという愚行をした甲斐があった。また一日中持ち歩いた割にはほとんど割れていなかった。

 
 Oさんを待つ間、棚を見せていただく。いやはや凄いわ。面白い。「只者ものではない感」が香っていると思った僕の鼻は確かだった。えーっと、これ俺の本棚だっけ?って思うくらい好みの本が並んでいる。特に僕がひそかに贔屓にしている出版社、解放出版社青林工藝舎の本が揃っている。あ、ここには佐伯俊男の画集が・・・。

  
 夢中になって見ていたらOさんが戻ってこられた。ちょっと池澤夏樹を思わせる風貌。今までもメールでのやり取りはあったので初対面のような気がしない。棚の前で好みの本の話やフォークシンガーのシバさんの話など、短い時間だったが話すことができた。というか僕が一方的にしゃべりまくって、Oさんがニコニコと聞いてくれていた感じかも知れない。

 
 欲しい本がたくさんあったのだけどすでに大荷物だったので一冊とあとはOさんが登場する地域誌だけで我慢した。華房良輔著『天皇陛下万歳とお笑い漫才―伝統芸能の謎を解く』(解放出版社)


天皇陛下万歳とお笑い漫才

 帰りは近江八幡の駅までOさんが車で送ってくれた。日が落ちて寒いし荷物は多いしでとても助かった。別れ際「今度は一杯やりましょう」と嬉しいお言葉。


 はい、望むところです。