ロミちゃんを先生と呼ぶ子らがいて。

今日は、渋谷はスぺイン坂のジャズバー「BABYTALK」にてクリスマスジャズライブ。
 
  今宵のスターは毎度お馴染み亜樹山ロミさん。

僕が15年通いつめる憧れの歌姫だ。

  このお店にくるのは二度目。前回来たときは一年半前、サッカーワールドカップの真最中で、渋谷の町は火が消えたように静かだった。うってかわって今日はクリスマス直前の金曜日。それこそ芋を洗うような大混雑だ。

  人の波をかきわけかきわけ、やっとのことで「BABYTALK」にたどりついた。

  店に入るなり「メリークリスマス!!」と笑顔で迎えてくれるロミさん。クリスマスらしく胸元にモコモコの兎の毛皮をあしらった真っ赤なドレスが可愛い。

  本日の編成はオルガン・伊原康二、トランペット・西尾健一、ドラムス・木村由紀夫、ボーカル・亜樹山ロミという面々。実はこのお店、オルガンの伊原さんの店だ。すると「BABYTALK」とはハモンドオルガンの妙なる調べを赤ちゃんの声に譬えたものなのかな。ステージの後ろはアンリ・ルソーの壁画。ライオンがこっちをにらんでいる。
  
  松の幹のようなごつい手で繊細なメロディを奏でる伊原さんは、絵本に出てくる木こりのような偉丈夫だ。もしヤンキーズのマツイヒデキにお兄さんがいたらこんな感じだろうと思う。実際、よく似ている。今ニューヨークに行ったら、「おまえの弟は新人王、残念だったな」とニューヨークっ子に慰められるに違いない。

  「バードランドの子守唄」で始まった今回のライブ、ジャズやボサノバにくわえてクリスマスソングも満載した実に楽しいものだった。ロミさんは歌だけでなくMCもいけるのだ。面白いMCはやりすぎると下品に流れたりする危険性があるのだが、ロミさんはその辺が実に上手い。客席を笑わせた後も、しっとりトークで場面転換しスローバラードに移行する。だからいつもロミさんのライブの後の僕は上機嫌だ。

  今日はロミさんのジャズボーカル教室のお弟子さんがたくさん来ていた。女性限定の教室なのでお店に来ていたのも全員若い女性。いつもは僕を筆頭ならぬ末席とする「追っかけオヤジーズ」に席捲されるのだけど今日は華やかでいいなぁ。ロミさんがお弟子さんたちに「先生」と呼ばれているのが面白い。赤いおべべの先生だ。

  俵万智さんの「サラダ記念日」に

     
     万智ちゃんを先生と呼ぶ子らがいて神奈川県立橋本高校


  という歌がある。今宵はさながら、


     ロミちゃんを先生と呼ぶ子らがいてスペイン坂BABYTALK

  
   と言ったところだろうか。
  
  今年もお世話になりました。楽しませてもらいました。来年もよろしく。 
  
メリークリスマス!!