仁義なき戦い  蕃茄探偵犯科帖より

今日、所用あって2ブロック離れた知人宅に行こうと玄関を出たら、道路にグリーンの紙くずが落ちていた。拾って広げてみると隣町に新規開店するというパブ「ジュテーム」(仮名)の求人ビラだ。

「しょうがねぇなぁ」と家の外掃き用のゴミ箱に捨てて再出発。

知人宅にむけて歩きかけると、前方にはちょっと異様な光景が続いていた。

道路に転々と一定の間隔でさっきと同じグリーンの紙くずが落ちているのだ。紙屋のヘンゼルとグレーテルでも通ったのか。よく見てみるとグリーンの紙くずが落ちているのはすべて電信柱のすぐ下だ。そしてその電信柱はと見ると、電信柱という電信柱にはすべて黄色いビラがはためいている・・・。

近づいてみる。その黄色いビラは、同じく隣町に新規開店する別のパブ「ルシファー」(仮名)の求人ビラだった。

電信柱ごとに貼られている「ルシファー」の黄色いビラ。そしてその足元に丸めて捨てられている「ジュテーム」のグリーンのビラ・・・・。

推察するに、先にジュテームが電信柱にグリーンのビラを貼りまわり、そのあとルシファーが来てジュテームのビラを剥がして丸めてポイして自分の黄色いビラを貼ったのだろう。

この2店はライバルなのだろう。まさかに国分寺で、銀座や赤坂のような「引き抜き合戦」があるとは思わないが、こういうお店はいわゆる「女のコ」の質が即、売上げに直結するから、そりゃ必死にもなる。あのビラのクシャクシャっとした丸め方にも闘志が感じられた。

ビラを並べて時給を比較してみるとグリーンのジュテームの方がだいぶ高い。ビラを貼りにきたら、すでにライバル店の自分とこより高い時給の求人ビラを貼ってあった・・・・、うん僕でも剥がしたくなるな(笑)。

しかし、勝負というのは公明正大、正々堂々とやっていただきたい。姑息なこと違法なことはやめたほうがいい。最低限「ゴミの持ち帰り」は励行していただきたい。そして喧嘩だったらぜひご「地元」でやっていただきたい。

そして、できれば忘れないでいただきたい。電信柱にビラを貼ること自体が違反であることを・・・。