朴慶南さん待望の新刊である。
今日、そろそろ年賀状の準備をしようと今年のお正月にいただいた年賀状を整理していたら次のような文面の年賀状が出てきた。
「『私以上でもなく、私以下でもない私』。こんな新しい本が春には出版される予定です。(中略)2003年元旦」
キョンナムさんである。この本の奥付は11月27日。もう冬である。そうわけで本当に待ちに待った新刊なのだ。
キョンナムさんの周りで起きた素敵な出来事や、周りの人のちょっと元気がでる一言を集めた一冊だ。
一例を挙げよう。
マルセ太郎という希代の芸人がいた。先年亡くなったが、動物の真似、とりわけ猿の真似が得意で「12年に1回、申年に忙しくなる芸人」といわれていた。また映画の一人語りも凄かった。映画のストーリーを一人で台本なしで語るものだ。僕はテレビで「泥の河」を見たきりだったが凄い迫力だった。鬼気迫るものだった。
そのマルセさんが、自分のリサイタルに感想を寄せてくれた7歳の少女にあてた返信が紹介されている。
「がっこうのべんきょうもがんばってください。べんきょうをがんばるのはひとにかつことではありません。おとなになったとき、よわいひとのたちばにたってものごとをかんがえるようになるためです。つよいということは、よわいものをいじめることではなく、よわいひとのためにたたかえることです。つよくやさしいひとになるため、べんきょうしてください」
小学生向けに書かれた、すべて平仮名の読みにくい手紙だが、僕は電車の中で読んでいて、目頭が熱くなってしまった。こんなシンプルな言葉で語ることができるという素晴らしさにびっくりしてしまったのだ。僕は子どもに何が伝えられるだろうか?
この本にはキョンナムさんが集めた、またキョンナムさんのもとに集まってきたこのようなエピソードが満載なのだ。映画「こどもの時間」で有名な埼玉の「いなほ保育園」のことも詳しく書かれていて面白い。また拉致被害者・地村富貴恵さんの兄、浜本雄幸さん(凄い人物だ)との出会いのエピソードも感動的だ。お勧めです。