秋山さんとの約束

今日は終業のベルが鳴ったとたん荷物をまとめて席を立った。

「どうしたの蕃茄さん、やけに早いじゃない?」

ああ、ちょっと秋山さんと約束があってね・・・。

 
  今日から始まる時代劇「剣客商売」の新シリーズを見るのである。放送が始まる時間が7時である。これ、何とかならんのかな、早すぎるよ。

  このシリーズは本当に面白い。主人公の老剣客・秋山小兵衛に藤田まこと。滅法強いが粋人で人生の達人。その息子・秋山大治郎に山口馬木也。これまた滅法強いがストレートな堅物。その妻の男装の剣豪が寺島しのぶ。小兵衛の超・若い後妻が小林綾子

  原作は池波正太郎。だからただのチャンバラじゃない。テーマは人生そのものなのだなあ。

  キャストが皆いいんだよね。

  大治郎役の山口馬木也さん、この人のこと、僕は去年のこのシリーズで初めてみたのだけど、本当かっこいい。筋骨隆々な美丈夫だ。特にこの大治郎役がまるで天職のようによく似合っている。その逞しさ、誠実さ、純粋さ、健全なマチズモ。
  水戸黄門のときの妖術使い・夜叉王丸の役の数倍いい。妖術使いにはガタイがよすぎた。筋肉が邪魔(だいたい水戸黄門の妖術使いといったら30年前の成田三樹夫の役だ)。なんか収録が終ってもこの大治郎の衣装をきたまま地下鉄に乗って帰っちゃいそうなくらい、役が似合っている。

 そして、今や時の人の感もある寺島しのぶ嬢。ようやくここに帰ってきてくれました。小太刀を持ってこんなにきれいにきまる女優さんも珍しい。ぼくは彼女がNHKテレビ講座「趣味ゆうゆう」の「初めての俳句」でアシスタントをしていた頃からのファンだ。とても頭の回転がよく感性が豊かな女性だ。俳句も上手だった(そうか、僕の俳句に進歩がないのは頭の回転が鈍くて感性が乏しいからか・・・・ショック)。

  今日のゲストスターは松村雄基と長内美那子。もう、長内さんがきれい。「てるてる家族」の藤村志保さんといい、長内美那子さんといい、かつての美しい奥様役の女優さんが、上品できれいなおばあさんになって喜ばしい限りだ。「きれいなおばあさんが好きですか?」 はい、好きです。

 ああ、それにしても7時開始がうらめしい。サラリーマンには「見るな」というのだろうか。子どもらが「ポケモン」を見たがってうるさくて仕方ない。