沖縄の神さまから贈られた言葉

見て、この表紙。カッコイイでしょ。この表紙、見せられたら普通買っちゃうよなあ。

   沖縄の神さまから贈られた言葉

この本は「てるりん」こと照屋林助さんが語る人生論だ。

  「てるりん」さんは戦後沖縄を代表するコメディアン。東京でも何年か前、水虫薬のCMで話題になった。「♪ポリポリカイン、ポリカイン♪」ってやつ。息子さんは「りんけんバンド」の照屋林賢さんだ。

  この本には沖縄の伝統に根ざした人生の知恵がいろいろ語られている。祖先のことを考えてみようとか年寄りの話を聞こうとか。他の人に言われると「?」って思ったりすることも、てるりんさんに言われると「そうかもな」と思えてしまうから不思議だ。

  その他で僕が一番共感するのは、威張ることのカッコ悪さだ。人間は弱いから虚勢を張ってつい威張ってしまうんだけど、肩の力を抜いて他人を怖がらなければ、威張らないですむ。みんな幸せ。

  ところで、てるりんさんは沖縄市、昔で言う「コザ」に住んでいる。そこで「コザ独立国大統領」を称している。なに勝手に独立を宣言した「遊び国」なのだ。コザに「中央行政府」を置いている。

  そのコザ独立国の三原則は以下の通り、

一、ナンクルないびさ

一、チャンプラリズム

一、テーゲー主義だが進歩的

※「ナンクルないびさ」=ものごとは自然と落ち着く所に落ち着くもの
 「チャンプラリズム」=文化や人の豊かな交流、混じり合いを尊ぶ考え方
 「テーゲー主義」=大概のすすめ。ものごとを大局に立ちゆっくりと構える姿勢。

 
  どれをとっても僕に欠けているものばかり。憧れるなぁ。

  そういうわけで僕は3年前、沖縄に行ったときに、コザの「中央行政府」を訪ねたことがある。「中央行政府」、すなわち、てるりんさんの常打小屋である。

  誰もいなかったよ。いきなりテーゲー主義の洗礼をうけたね。後で地元の人に聞いたら「開いていたらラッキー」なものだそうだ。

  ここ数年、沖縄のオバァが人気だけど、「沖縄のオジィ」も相当カッコイイ。


  ただ一つだけ、てるりん大人に反論。

「寒暖の差があるから季節感が生まれるなんてのはヤマトの人の負け惜しみ。暖かいほうがいいに決まってる」

  これは違いますよ。これじゃあ僕ら俳句詠みが浮かばれませんて。


  この本、先月末の関西巡業の折、立ち寄った神戸のユニーク書店
で購入した。職人・レトロ・芸人・アウトロー・在日・韓半島・縄文&江戸・読む競馬・ギャンブル等、テーマ別に棚を編集する個性的な店作りで「ワクワク系書店」として全国的に有名な店だ。

  そこの「スローの棚」で出会ったのだ。なるほど確かにこれほどのスローはない。参りました。



照屋林助著『沖縄の神さまから贈られた言葉』・晶文社刊・1,680円