続続続「FM国立」があった

 (7月2日の続き)

  お便りはますます増えていった。それぞれ個性あるパフォーマンスでアピールし、ラジオ特有の「常連投稿者」も誕生し始めた。

  記憶にあるペンネームとしては・・・・白馬の星、小梅、小夏、ウルトラセブン、サカボー、ピンクリー(たしか前回の日記で「恋しちゃったみたい!」と身をよじっていた「ピーちゃん」のペンネームだ)、ジミーペイジの弟子、ミッシェル、ミネンコ、ミヨちゃんなどなど。今、当人たちが見たら赤面するであろう。

  放送中でかかる曲も広がりを見せ、ロック、フォークの他歌謡曲もかかるようになった。

  よくかかっていた曲をアトランダムに並べると、洋楽では、「いとしのレイラ」「キラー・クィーン」「ボヘミアン・ラプソディ」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」等々

  邦楽では(この言い方、凄く抵抗があるのだけど)、「今はもう誰も」「裏切りの街角」「22歳の別れ」「いちご白書をもう一度」などなど  

  で、僕のふらんす小噺であるが、こちらはだんだん出番が少なくなってきた。
理由は簡単、女の子のリスナーが増えてきたからだ。ドラゴンあきらも普通の健全な男子高校生だ。せっかくモテモテになったのに、女のコに嫌がられるエロ話などしたくない。そんなわけで僕の手紙が読まれることは少なくなってきた。

  いや、あきらだけのせいにしちゃいけないな。同級生の女の子たちも聞くようになって、僕も(特に艶笑ネタの)投稿を控えるようになり、事務方に徹するようになったのだ。

  そんなこんなで、だんだん放送内容もちょっと気取ったものになっていった。初期の頃の過激な爆発力はすっかり影を潜め、既存のラジオ番組とそう変わらないコンセプトのものになってきたのだ。僕はひそかに、女の子からの恋愛相談のハガキに気取って答えるあきらのトークに若干の違和感を感じるようになっていた。

  そんな僕の危惧や違和感とはうらはらに、FM国立はますます繁盛し、人気や注目度も高まって行ったのである。僕も胸に違和感を抱きつつも、今や国立の若者の人気と注目の的であるFM国立の周辺で過ごす日々は刺激的で、毎日が楽しくて仕方なかった。


《続きはまた明日》