ロード・ムービーといえばもう一つ忘れられないものがある。
1973年に放送していた「走れ! ケー100」だ。これは凄いロードムービーだった。
大野しげひさがゴムタイヤで道路も走れて水陸両用の機関車ケー100を駆って全国を旅して歩くというもの。
テンガロン・ハットをかぶった大野は既にオジサンの雰囲気で、ヒーローとしての資質には若干の疑問が残った(オジサンの雰囲気なのは当然で、翌年からは「がんばれロボコン」のお父さん役をやる。いやロボコンのお父さんってことはないな。ロボコンが寄宿する家のお父さんだ)。
寿司屋のあととりで、旅をやめさせようとお母さんと自称・婚約者が追っかけてきてね。逃げ回る大野。チェイスは喜劇の基本。面白かったなぁ。
お母さんが石井富子。「おれは男だ!」のタムラの母ちゃんね、って言っても誰もわかるまいが。婚約者が十勝花子・・・・・・・かとずっとそう思っていた、約30年間。それがどうも違うみたいなのね。秋元京子という人。知らないなぁ。そうか、十勝じゃなかったのか・・・。
キーハンターの大川恵子も出ていたなぁ。主題歌はにしきのあきら(現・スター錦野旦)
それにしても大野しげひさである。その仕事振りの全体像が良くつかめない人だ。最もメジャーなのはシャチハタ・ネームかな。
最初に見たのが、宇津井健と共演したサントリー・レッドのCM。大人も若者もサントリー・レッドというニュアンスのCMの若者を担当していた。
あと「びっくり日本新記録」の司会も忘れられない。優勝者には賞金とともにアシスタントのキャロライン・陽子のキスが贈られるのだが、女性が優勝したときは大野がキスをしていた。大野のキスは微妙だ。嬉しいのは大野だけだったであろう。
マープ増毛法もあった。あとミツハシライスもあった。
どれを見ても軽〜い雰囲気なんだけど、流石に還暦を越えた近年は渋くなってきたかな。葬儀屋さんのCMで黒スーツを着た弔問客に扮して、
「いいお葬式でした・・・」
と独白するの。どこの葬儀屋さんだったかな? 「大野屋」だっけ?
ロード・ムービーの話をするはずが、大野しげひさの話になってしまった。好きなのか?自分?
うん、好きなのかもしれない。いつからかと訊かれたら、いつか見たインタビュー番組で、
「丁稚奉公していた食べ盛りの頃、お母さんからおせんべいを送ってもらった。おおっぴらに食べると先輩たちに取られちゃうので、夜中に布団の中で唾でふやかして音が出ないようにして食べた」
という話を聞いてからかな。苦労話には弱いほうなのでね。