怪盗の競演と芸の継承について

さぁて困ったぞ。なにが困ったって今晩の9時からである。

   日テレが「ルパン3世」、フジテレビが「天切り松 闇がたり」である。両方見たい。

   

   「天切り松」は浅田次郎原作のピカレスク・ロマン。盗みはすれども非道はせず、の義賊ものだ。主演は中村勘九郎。他に渡辺謙椎名桔平六平直政中村獅童永井荷風役で岸辺一徳も出るらしい。

   ルパン3世については説明は要るまい。

   つまり局は違えど大泥棒の東西対決だ。ああ、両方見たい。そんなわけでチャンネルをカチャカチャ変えながら両方見ていた。


   勘九郎丈演じる天切り松は大変なおじいさんの役なんだけど、トーンを抑えた声音がおとっつぁんそっくりだ。目をつぶって聞いていると亡くなった勘三郎丈がよみがえったかと思っちゃう。

   時々、「勘九郎勘三郎に似過ぎ、モノマネみたい」という人もいるけど、そんなことは無い。確かに良く似ているが、それ以上に新しいことにチャレンジして、常に僕たちに新しい世界を見せてくれている。また似ている部分は芸の継承でもあると思う。


   モノマネと言えばルパン3世である。山田康雄が亡くなって、そのモノマネをしていた栗田寛一があとを継ぐなんて・・・・。反対の署名活動でしようかしらん、と最初は思っていた。また確かに最初のうちは一本調子で、「ああ、今までは似せやすいところだけ真似してたんだな」などと意地悪なことを思ったものだが、どうしてどうして。今日などは堂々たるもので全く違和感は無い。芸の継承がなされたのだな。慶賀慶賀。


  だったらあの時、原一平に継がせておけば、今も毎年楽しいお正月が過ごせたのかもしれないな。