心の中の花火

台風が中四国を襲っているそうである。その影響か昨日あたりは結構雨が降った。

  今日も日中はいい天気だったが夜八時ごろから断続的に空がゴロゴロ鳴るようになった。

  台風と雷って関係あったっけ? などとツマに聞いたら何のことはない、お隣、立川・昭和記念公園の花火大会だそうだ。

  うちから花火は見えないが音だけは聞こえるのだ。

  以前は見えたんだけどね。この家を建てた段階では屋上から見えるはずだったのだ。屋上にチェアを出して、ビールを飲みながら見るはずだったのだが、家が建ちあがった年は荒天で中止となった。

  そして翌夏までの間に家の北西方向に大きなマンションが出来て視界を遮るようになり、自宅からの花火見物は幻となったのだ。


  今は音だけが聞こえる。衝撃で窓枠がビリビリ震える。

  見えなくてもいい、その音を聞きながらまぶたの裏に広がる美しい花火に思いをはせるのもまた一興・・・・・・、というような風流人ではないのだ、生憎と。

  姿は見えずに音だけが聞こえ、あまつさえ窓ガラスを震わす花火に愛着は持てない。鰻の蒲焼の匂いだけ嗅ぎながらドンブリ飯を食う修練はまだ積んでない未熟者なのだ。