あらしのよるに  

またまた台風である。当たり年だ。


 ざんざんぶりの雨の中、飲み会をやってきた。


 場所は神保町。お店は錦華公園近くの「小料理・菊水」。


 おちついたいいお店だったな。以前この界隈の会社に勤務していた、若き中国文学者で出版ジャーナリストの守屋淳さんに教えていただいた。

最高の戦略教科書 孫子

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 メンバーはエッセイストの坂崎重盛さん。近々、新刊を2冊出される。実業之日本社で『一葉からはじめる東京町歩き』、そして朝日新聞社『TOKYO老舗・古町お忍び散歩』だ。

一葉からはじめる東京町歩き

一葉からはじめる東京町歩き


 
翻訳家の金原瑞人さん。翻訳は200を数えるが、今般、初めての著書『大人になれないまま成熟するために―前略。「ぼく」としか言えないオジさんたちへ 』(洋泉社)を上梓された。


TOKYO 老舗・古町・お忍び散歩

TOKYO 老舗・古町・お忍び散歩



 同じく翻訳家の井辻朱美さん。翻訳家であり歌人でありファンタジー文学評論家であり実作者である多才な方で、オペラ評論もされる。著訳書は100を大きく超えるが、今般、オペラガイドの決定版『オペラ・ギャラリー50』(学研)を共著で上梓された。


オペラ・ギャラリー50

オペラ・ギャラリー50

 

  人形作家で写真家の石塚公昭さん。現在、小金井の「江戸東京たてもの園」で『たてもの園・作家のいる風景---人形とたてものによるコラボレーション---』展を開催中である。また10月17日〜19日、ご当地・神保町の古書会館で開かれる「地下室の古書展」の一環で「石塚公昭 作家・文士人形写真展」を開催される。



  女流義太夫三味線の鶴澤寛也さん。上記、石塚さんの『人形とたてものによるコラボレーション』にモデルとしてデビュー。谷崎潤一郎の人形とたてもの園の貴重な建物の中で共演している。

 
 そして、坂崎さんの担当編集者Sさんと蕃茄山人という7人だ。


 
 で「どういう会?」と聞かれて困るのだけど、つまりはいろいろおめでたいことがあった方々にお集まりいただき、おめでたく飲んで食べようということだ(結果的には)。


 これだけの濃ゆーいメンバーが集まっての話題は、谷崎、林芙美子樋口一葉森鷗外日舞文楽、オペラ、ボサノバ、花火、フェンシング、煙管まわし、ステッキ、ゆで卵の秘法、ヘッケルとジャッケルなどと多岐にわたり、あっという間にオーダーストップの時間となり、大雨の中、解散となった。


 帰り際、寛也師匠から、


 「前にお借りしたテープ返すわ。どうもありがとう」

 
 見ると、桂文楽(先代)の「寝床」だった。彼女が義太夫業界への「就職」を決めた21年前に僕から渡されたそうである。

  若気の至りとは言え嫌味な悪戯をしたものである。申し訳ない。今、「寝床」を聞きながらこの日記を書いている。