キャッチボールで七段目

バッテリーも復旧したことだし 、車で出かけようと思ったんだけど、またしてもウンともスンとも言わない。

またニューヨーク大放電だ。見ると後部ドアが半ドアになっている。こうなるとドアランプが点きっぱなしになり、バッテリーが上がってしまうのだ。

どうやら僕に車の維持管理は無理みたい。運転も好きじゃないし。落ち込んで、手放すことも本気で考える。

ゲンナリして外出は中止。

二階のリビングで、長女・花子(仮名・小五)のピアノの練習を聴きながら本を読んだいたら、庭にいる次男・三吉(仮名・小五)から声がかかる。

「キャッチボールをしよう」と。

靴を履くのが面倒くさかったので、今日のキャッチボールはちょっと変則的。三吉は庭にいて僕は二階のバルコニーにいる。

つまり落差があるので、三吉は常に全力投球で上方に投げ上げ、一方の僕はボールを下に落とすだけということ。僕の体力消耗がほとんどないというのがミソだ(イヤなミソだね、どうも)。

これを密かに僕は「七段目方式」と呼んでいる。

七段目とはもちろん「仮名手本忠臣蔵」の七段目、「祗園一力茶屋の場」。2階にいるお軽と階下にいる大星由良之助のやり取りからとった。

途中、三吉の暴投が2階の網戸に当たり、老朽化した網戸がバリバリと破れるというハプニングもあったが、久し振りで面白かった。

そんなふうにして一日を過ごした。