「つばさ」車内で「そこまでやるか」

日経の夕刊。昨日の夕刊を今朝見ていたら、一面に「そこまでやるか」というシリーズが載っていた。今回は「世に売れぬものは無し」という特集で、山形新幹線「つばさ」のスゴ腕車内販売員の姐さんのインタビューが面白かった。


山形新幹線「つばさ」の車内販売と言えば、僕にも忘れられない思い出がある。

一昨年の6月、今は無き「かみのやま競馬場」に行った。かみのやま温泉にあったローカル競馬場で、故・山口瞳先生がこよなく愛した競馬場として知られている。

僕が行ったときはもう風前の灯であったが、なんとか盛り立てようと瞳先生の遺志を継いだ嵐山光三郎先生ががんばっていた。

その嵐山先生のアイディアで創設されたのが「山口瞳杯」。それの一泊二日の観戦ツアーで行ったのだ。

メンバーは嵐山先生、エッセイストの坂崎重盛さん、山口瞳先生の担当編集者だった「スバル君」ことI氏、を始めとする総勢8人。末端が僕。現地にて夫人の山口治子さん、子息の正介氏、キャットフィッシュのマスオさんと合流。

そこでの2日目、I氏が獲ったのである8万馬券を。それも10枚。


ここでようやく「山形新幹線つばさの車内販売」の話になる。

そんなわけで帰りの車内はI氏のオゴリで車中宴会となった。持ち込んだ酒肴はあっという間に食い尽くし飲み尽くし、車内販売を待つことにした。

程なく来た車内販売の女性を呼び止めた嵐山氏が一言、

「全部ください」

さすがに断られたので、お酒とつまみをたくさん買った。ふだん絶対買わない真空パックの牛タン(すげぇ高い)も買った。

「そこまでやるか」という感じで、あんな愉快な車中宴会はなかったなぁ。そう思ったのは僕だけでなかったようで嵐山氏も週刊朝日の連載に書かれた(新講社「退歩的文化人のススメ」97ページに収載)。


その2ヵ月後「かみのやま競馬場」はその歴史に幕を下ろした