「くにたち児童劇団」公演『ユタと不思議な仲間たち』

今日は長女・花子(仮名・小五)が出演している「くにたち児童劇団」公演に行ってきた。

児童劇団」とは言ってもプロではなく、市の児童館のサークル活動だ。だからすべて手作りだ。ちなみに全員女の子。

演目は三浦哲郎原作『ユタと不思議な仲間たち』。劇団四季のミュージルの定番演目だ。いい本をやる。

ストーリーは・・・

 家庭の事情で東北の寒村に越してきた少年・勇太(ユタ)。毎日、村の子供たちに「都会のモヤシっ子」といじめられつらい日々を過ごしていた。そんなある日、5人の座敷わらしと友達となる。彼らはこの世に生を受けながら生きることができなかった悲しい魂たちの化身だった。彼らとの交流の中で次第にたくましく成長し、村の子供たちにも溶け込んでいく勇太。やさしく見守る座敷わらしたち。そして別れの日がやってきた・・・。

というようなストーリー。花子の役は座敷わらしの頭目・ペドロの役。ずいぶんいい役をいただいた。先代の尾上松緑にやらしたいような大役だ(実は、秋の学校の学習発表会でも花子はこの芝居に出演している。その時はいじめっ子のサブリーダー・一朗の役。卑怯なキャラで、スネオ的少年)。

実はこの台本は暗喩として「死」のイメージが色濃く漂っているものだ。陽気な座敷わらしたちの本質は死んだ子供たちだ。今回の演出はそのイメージにもフタをすることなく、しっかりと難しいテーマに取り組んでいたと思う。演出をした児童館の指導員(市職員)のおにいさんの功績だ。

今回の公演は直前で大変なハプニングがあったという。座敷わらしの中の一人の子がインフルエンザで寝込んでしまったのだ。そこで急遽・代役を立てた。彼女のお姉さん(中一)が劇団OGだったのでお願いしたのだ。それが昨日ですよ。

決まった24時間後に本舞台。もちろんセリフは入ってない。しかも漂泊の遊女だった母を慕う女形の(つまり本当は男である)座敷わらしの役を女の子が演じると言うパラドックスな難役だ。でもそんな舞台裏を微塵も感じさせず、見事に演じきっていた。さすが基礎ができている人は違う。そしてこの劇団の層の厚さも見事だ。

花子の出来は・・・・いろいろ注文はあって言い始めたらキリがないのだが、まぁ、あんなもんだろうな。それにしても、ふだんはファミレスでウェイトレスさんにお水のおかわりを言うことも出来ないのに、メイクをして(今回は「もののけ姫」メイク)をして舞台に上がると300人の前でもアガらずセリフがいえるというのは不思議なものだ。

それからこれは「くにたち児童劇団」の公演を見るたびに書くことなんだけど、指導してくれている児童館の職員の方々の頑張りには本当に頭が下がる。僕ら民間企業の従業員はよく知りもしないで、公務員の方々の仕事っぷりに批判めいたこと、いや批判は良いんだけど揶揄めいたことをつい言ってしまったりする。でも、この芝居をみたらそんなこと口が裂けても言えなくなる

 上に書いたように、ふだんはウェイトレスさんにお水のおかわりも言いえない子が300人の前で表現活動をできるようになるのだから。「仕事」と9時5時で割り切ったら絶対作れないものだと思う。