第二回 はなやぐらの会 in 新宿・ほり川

そういうわけで先の週末、僕は長男・虎太郎(仮名・中三、改め高1)を連れて香港・広東に行ってきた。そのことをこの「蕃茄庵日録」にも報告した。

そうすると、中には次のようなメールをくれる人もいるのである。

「旅はよかったかね? 家庭サービスを隠れ蓑に、自分の行きたいとこ行ってるでしょー?」

世の中というもの、本当のことを言えばいいというわけではないのである。困った人である。


今日はその困った人のリサイタルに行ってきた。

女流義太夫三味線・鶴澤寛也リサイタル「第2回 はなやぐらの会」である。


蕃茄庵のお客様方にはもうすっかりお馴染みの鶴澤寛也師匠。僕の学生時代からの悪友である。キャラが立っているので、ついネタにしてしまう。

今回の「はなやぐらの会」も前回同様、人間国宝の竹本駒之助師匠の賛助出演をいただいている

演目は「冥途の飛脚 淡路町の段」。近松の傑作だ。

淡路町といっても丸の内線ではない。ましてや明石市の対岸でもない。「あわじまち」と読んでいただきたい。大阪の商人町である。「冥途の飛脚」というと「封印切」が有名だけどその前段である。遊女・梅川との破滅的な恋に悩む忠兵衛の逡巡を描いた段だ。

クライマックスの、預かった金をお客に届けるか、それともそれを持って梅川の許に行くか・・・。

「おいてくりょうか、いて退きょうか」

ここの忠兵衛のハムレットの悩みが絶品だった。駒之助師匠はやっぱり凄いわ。


会場は新宿の「ほり川」。代々木アニメーション学院の8階の畳敷きのホールだ。代アニも粋なホールを持っているなと思ったら、「ほり川」が大家で代アニがテナントだそうだ。

会場ではエッセイストの坂崎重盛さん、ジャズ・サックスの中村誠一さん、ジャズ・ギターの伊東しのぶさんに会う。みなさん守備範囲が広い。


それと学生時代の悪友・カズ坊夫妻とも会う。カズ坊は寛也さんと同じく学生時代の歌舞伎研究仲間で、東京の歌舞伎はもちろん京都の南座各地の地歌舞伎まで巡った仲だ。 (←←必見)


そういうわけで、終演後はカズ坊夫妻と西新宿で数年ぶりで軽く一杯、のつもりが重〜く一杯、閉店まで。