有楽町で・・・

昼の部の外仕事が思いのほか早く終わってしまい、夜の部の外仕事の始まりまでの間、約2時間、ポッカリ時間が空いてしまった。雨の有楽町にて。

僕は貧乏性で、時間つぶしが下手だ。無駄に歩き回ってしまう。だけど今日は雨降りで大荷物。さて、どうしよう。時代遅れの喫茶店でも探してまったりしようか、と交通会館の軒下で灰色の空を見上げていたら、中年の男性の必死の声が響いた。

「A型の血液が不足しています。少しの時間で結構です。ご協力ください」

献血なんて10年以上したことがなかったのだけど、彼の声には不精な僕を動かすものがあった。交通会館6階の献血ルームに向った。


中に入ってびっくり、ホテルのようとは言わないが、シンプルながら清潔で落ち着いたインテリア。すっかりくつろいでしまった。係りの人の?接客?もすごくいい。カップベンダーのドリンク(FREE)を飲みながら順番を待つ。

丁寧なことに問診もある。梅雨寒の中、ヘソ出しでがんばっている細い女の子は「体重、大丈夫ですか」などと聞かれていた。一方僕は「その身長でその体重は・・・。ゴハンを減らすか運動するかして下さい」などと、ないものねだりをされてしまった。

さっき、献血は10数年ぶりと書いた。血の気は多いほうだし、痛みには強いほうなんだけど、意外や意外、血管が細いのだ。しかも肉が厚い。だから血管を見つけ出すのが至難の業。毎年の健康診断の血液検査の際も看護士さんの腕前によってはブスブスと2、3箇所刺されてしまう。

それで臆していたのだけど、今日の人は流石に専門で毎日やっているだけあって、うまいものだったな。一発で好ポイントにヒットした。ビンゴ!!

こんな簡単ならチョクチョク寄らして貰いますわ、と思ったんだけど、そうはいかない。400cc献血は一年に3回しか出来ないそうだ。


室内には僕と同じようなスーツ姿のサラリーマンも結構いた。足が上がったチェアに座って採血してもらうのでお互い顔は見えず、靴底だけが見える。みんなよく歩く男の靴だった。ひそかにエールを送った。