「カッ! カッ! カッ! 」と言っても黄門様の高笑いではない。
今朝、国立駅のコンコースを歩いていたら(今、工事中で異常に長い)、後ろから、
カッ! カッ! カッ! カッ!
と派手な音が近づいてきた。ミュールを履いた若いお嬢さんだ。
カッ! カッ! カッ! カッ!
ちょっとうるさい。階段になると余計にうるさい。
そう思った人は僕だけではなかった。ちょうど彼女の横を歩いていた中年のおじさんが、回りにも聞えるような声で、
「足音がうるせーんだよ!!」
と言い放ったのだ。言われた女の子はその場で一瞬、立ち止まったが、「キッ!」とまなじりを決すると、ちょっと先に進んでいたおじさんにむかってギャロップで向かっていった。
すわ乗客間トラブル!! 早朝のプラットホームで流血か!?
とドキドキした(気が小さい)。そしてちょっとワクワクした(物見高い)。
おじさんに追いついた女の子は、おじさんの真ん前にくるりと回り込み立ちはだかるとこう言った。
「なにもそんな言い方しなくてもいいでしょ、おとうさん」
なんだ親子かよ。人騒がせな。