越南点描〈17〉 ベトナム・マネーの焦点

ベトナムを旅してややこしいのがお金だ。非常にわかりにくい。


日本だったら紙幣のデザインは、福沢諭吉だったり樋口一葉だったり和気清麿だったり武内宿禰だったりしてそれぞれに個性的に顔立ちでわかりやすいんだけど、ベトナムではすべてホーチミン。区別がつけにくい。


数字見ればわかるじゃん、なんてことを言って欲しくないね。


ケタが大きいのだ、いちいち。500,000ドンだ200,000ドンだなんて紙幣が平気であるのだ。○を数え間違えて店の人をイライラさせたこと一再ではないよ。


またレートがもの凄い。


1円が167ドン。

1ドンが0.006円。


つまり1000ドンが6円。


そういうわけで初日に乗り継ぎの国内線空港の食堂で10人でビールを飲んで生春巻きを食べたら1,196,000ドン。119万6千ですよ。もし円なら軽自動車が買えますよ。


思わず○の数を数えてしまったんだけど、円に直せば7,000円。ひとり700円だから妥当な値段。

ただ日本円に換算すれば小額だけど、ケタだけは大きくてガサがはるのは事実。ちょっと食事をするだけでも札束が飛び交うのだ。


3日目はガイドさんのアドバイスに従って使用通貨をよりコンパクトで使いやすい米ドルにと切り替えた。ホーチミン市内で米ドルが使えない店はないのだ。それはそれでいいのだけど、苦労したのは帰国後だ。


会計だった僕は旅の決算発表をしたのだけど、円、ドン、ドル、3本立ての会計報告を作るのはちょっとややこしかったなあ。


ちなみにこのベトナムの紙幣、オーストラリアに製造委託をしているそうだ。通貨の製造を他国にゆだねるなんて考えられない!! なんて一瞬思ったのだけど、日本も永楽銭とか宋銭とか、他国に頼っていた長い歴史があったよなあ、と思い出した。


そしてこの紙幣、正確には紙幣ではない。プラスティックの極薄シート。だから破れる心配はないのだけど、「折れない」のには閉口した。10枚ごとに最後の1枚を横向きに折って他の9枚を巻いて束を作る、なんていう普通のことが出来ないのだ。もちろん「ターバン・ホーチミン」なんてものも作れない。



お札DEおりがみ公式『ターバン野口』のつくりかた